昨今のAI技術の発展は目を見張るものがあります。
「ChatGPT」がリリースされてどんな人でも気軽にAIとの対話ができるようになり、画像生成AIのイラストや動画がSNSでも散見されます。テレビコマーシャルやチラシなど広告業界でも各種生成AIが導入されて、しばしば話題に上がります。

このように、対話型AIや画像生成AIは一般にも浸透してきたかと思いますが、オリジナルの楽曲を生成する音楽生成AIについてはまだあまり知られていないように感じます。

本記事では音楽生成AIについて、「Suno AI」を利用して実際に楽曲を生成することで音楽生成AIの使い方や料金、活用事例についてご紹介いたします。 

Suno AI」とは 

「Suno AI」は歌詞や曲調を指示するだけで自由に楽曲を生成できる音楽生成AIです。 
利用するためにはGoogle、Discord、Microsoftのいずれかのアカウントで会員登録をする必要がありますが、ブラウザーだけで操作が完結するため、パソコンやスマホですぐにオリジナル楽曲を生成できます。 

「Suno AI」はSuno Inc.社によって開発され、現在も音楽生成AIのデータを集めて、より利用しやすいようにアップグレードされています。
2024年3月5日の更新では生成した楽曲のプレイリストを作成したり、作成したプレイリストをほかのユーザーに共有したりできるようになりました。 

楽曲プレイリストイラスト

現在公開されている「Suno AI」はV2バージョンとV3バージョンが利用できます。V2バージョンで生成する曲の長さが1分20秒に対し、V3バージョンでは2分までの曲を自動生成できます。また、新規機能としてインストバージョンが選択でき、歌詞がついていない楽曲も生成できるようになりました。 
無料で利用する場合は1日に最大5回まで楽曲を生成できます。そのため、無料プランでも音楽生成AIを十分楽しめるのですが、生成した楽曲を商用利用する場合は有料プランに加入する必要がありますので、注意が必要です。 

それでは「Suno AI」が無料版と有料版でどのように違うのか、料金プランを比較してみましょう。 

Suno AI」の利用料金は? 

「Suno AI」にはいくつかの料金プランが用意され、それぞれで音楽生成できる回数が違います。現在は以下に示す3つの料金プランがあります。 

料金プラン 料金 概要 
Basic Plan 無料 1日あたりに10曲分の音楽生成が可能。 一度の音楽生成で2曲分作成されるため、生成回数としては5回が上限になる。 生成した楽曲の商用利用は不可。 
Pro Plan $10/month
1年契約の場合は $8/month 
(1ヶ月あたり約1,500円、年契約の場合は約1,200円($1=150円計算)) 
1ヶ月あたりに500曲分の音楽生成が可能。 一度の音楽生成で10曲分生成されるため、生成回数としては50回が上限になる。 生成した楽曲の商用利用が可能。(2024/4/25現在) 
Premier Plan $30/month
1年契約の場合は $24/month 
(1ヶ月あたり約4,500円、年契約の場合は約3,600円($1=150円計算)) 
1ヶ月あたりに2000曲分の音楽生成が可能。 一度の音楽生成で10曲分生成されるため、生成回数としては200回が上限になる。 生成した楽曲の商用利用が可能。 (2024/4/25現在) 

無料プランと有料プランの違い 

無料版と有料版を比較した違いとして挙げられるのは以下の点です。 

  • 無料版は商用利用が不可能だが、有料版は楽曲の商用利用が可能。 
  • 無料版では一度の音楽生成でメロディが異なる2曲分の楽曲が生成されるが、有料版では一度の音楽生成で10曲分の楽曲が違うメロディで生成される。 
  • 無料版では音楽生成の回数が1日ごとに決められているが、有料版では音楽生成の回数が1ヶ月ごとに決められている。 

以前まで、無料版ではV2バージョン、有料版ではV2、V3バージョンが利用できるという違いがありましたが。2024年4月12日のアップデートにより、無料版でもV3バージョンを利用できるようになりました。歌詞がついていないインストバージョンの曲も自由に生成できるため、楽曲生成の幅が広がります。 
個人で音楽生成を楽しみたい、作曲の参考にしたい場合などは無料プランに加入して、動画制作やコマーシャルでBGMとして生成した楽曲を利用したい場合などは商用利用ができる有料プランに加入することをお勧めします。 

楽曲作成イメージ

Suno AI」の使い方 

「Suno AI」を利用するにはいくつかの手順を踏む必要があるので、これから実際に音楽生成を実施して説明します。 

公式サイトにアクセスしよう 

公式サイトにアクセスして、右上にある[Make a song]のアイコンをクリックすることで「Suno AI」を利用できます。 

Suno AI利用手順説明

「Suno AI」にサインアップしよう 

公式サイトから「Suno AI」の利用画面にアクセスできたら、左下の[Sign up]をクリックします。 

Suno AI利用手順説明

クリックしたら会員登録するためのアカウントを選択するポップアップが出てくるので、 Google、Discord、Microsoftの3つから利用したいアイコンをクリックします。 
今回はMicrosoftアカウントを利用するため、右側のアイコンをクリックします。 

Suno AI利用手順説明

「Suno AI」からアクセス許可を求められるポップアップが表示されるので、右下の承諾をクリックします。問題なく承諾できた場合、Microsoftアカウントで「Suno AI」を利用できます。 

Suno AI利用手順説明

実際に音楽生成をしてみよう 

左側の[Create]をクリックすると音楽生成ができる画面に移動します。音楽生成はプロンプトと呼ばれる指示に従って生成されます。「Suno AI」は日本語にも対応しているため、自由な指示でAIにオリジナル楽曲を生成してもらいましょう。 
[Song Description]の下にあるテキストボックスに生成する楽曲のプロンプトを記載して、下にある[Create]のアイコンをクリックすることで音楽生成できます。今回は「仕事が捗るようなゆったりとした曲調のジャズミュージック」としてプロンプトを記載し、音楽生成してみます。 

Suno AI利用手順説明

しばらく待つと、「Suno AI」は指示した内容で1分くらいの楽曲を2つ生成してくれます。 

音楽生成はアカウントが所持するクレジットを消費して実施されます。無料プランではクレジットが1曲につき5つ分消費され、2曲の楽曲が生成されるので、10クレジット分消費されます。今回の場合も無料プランの利用になるので50クレジット⇒40クレジットという形で10クレジット分消費されています。 
音楽生成の指示が日本語だったので、今回の楽曲の歌詞は日本語で生成されています。 

ここで自動生成された2曲は歌詞とタイトルが同じで、曲調が違ったものになっているので自分のイメージに合った楽曲をプレイリストに登録することをお勧めします。 
「Suno AI」では左上の[Custom Mode]をオンにすることで、より詳細な指示の音楽生成を実施できます。次はそちらの方法で楽曲を生成してみましょう。

Suno AI利用手順説明

カスタムモードで音楽生成をしてみよう 

カスタムモードでは音楽の歌詞、ジャンル、タイトルを指定して、楽曲を生成できます。 

まずは歌詞を指定するのですが、ここで歌詞指定に関するポップアップが出てきます。 

表示される文章は「ここではAIが作成した歌詞、オリジナルで作成した歌詞、その他の権利を有する歌詞を投稿すること」という内容であり、既存楽曲の権利侵害を防止するための注意になります。右下の[I accept]をクリックしてオリジナル楽曲を生成しましょう。 

Suno AI利用手順説明

歌詞やジャンルは英語で「Suno AI」がランダムに生成できるのですが、今回は日本語の曲が作りたかったのでchatGPTを利用して歌詞、ジャンル、タイトルを考えてもらいました。 

それぞれの指定ができたら[Create]をクリックして音楽生成をしてみましょう。 

Suno AI利用手順説明

今回も記載した指示に合わせて2つの楽曲を生成してくれました。
楽曲の歌詞、ジャンル、タイトルは2つとも同じになっています。 

Suno AI利用手順説明

生成した楽曲の詳細を操作してみよう 

楽曲の詳細をクリックすることで該当の曲にいろいろな操作ができます。 

例えば[Remix]をクリックすると生成した楽曲の歌詞、ジャンル、タイトルがプロンプトに記載され、再度[Create]をクリックすることで既に生成した楽曲とは違ったメロディの楽曲を生成できます。 

[Sharing]を[public]に変更すれば、生成した楽曲を「Suno AI」を利用する他のユーザーに公開できます。楽曲の再生数や高評価、低評価のデータを見ることができるので、音楽生成する際のモチベーションにつながります。 

その他にも、楽曲ごとにプレイリスト登録やダウンロードなどの操作が実施できるので、生成した楽曲を自由な形で楽しみましょう。 

Suno AI利用手順説明

他のユーザーが生成した楽曲を聴いてみよう 

左側の[Explore]から他のユーザーが生成した楽曲を聴くことができます。 

タイトルの下に[hard rock]や[electroswing]、[hardcore]などの音楽ジャンルが記載されているので、自身が音楽生成する際の参考にすることをお勧めします。 

Suno AI利用手順説明

Suno AI」の活用事例 

「Suno AI」は楽曲の歌詞、ジャンル、タイトルを指示するだけで楽曲を生成してくれる自由度の高さが特徴です。有名な詩や古語、俳句、和歌など、どんな文章でもクオリティの高い楽曲に仕立て上げてくれます。 

友人との面白い雑談やメッセージアプリのトーク画面、最近の心情をレゲエやラップ、EDMやジャズのリズム、メロディに乗せて音楽生成するのも面白いのではないかと思います。 

音楽を生成するAIたち

有料プランに加入すれば生成した楽曲を商用利用できるため、動画編集ソフトを利用してYoutubeに投稿する動画に雰囲気の良いBGMを挿入したり、ウェブサービスのコマーシャルBGMとして広告に利用したりなどの用途が考えられます。 

他のユーザーが生成した楽曲を聴くこともできるため、作業用BGMとして好みの楽曲をプレイリストに登録し、純粋に音楽を楽しむのもよいと思います。 

まとめ 

本記事では「Suno AI」を通じて音楽生成AIの使い方を紹介しました。 

生成AIはここ数年で急速に発展した分野であり、まだまだ開発の余地が多く残されています。音楽生成AIについても今回紹介した「Suno AI」以外に「Mubert」、「AIVA」、「Soundraw」などのさまざまなツールがリリースされているため、どれが一番使いやすいかは実際にそれを触ってみるまで分からない状態にあります。ただ、今回「Suno AI」を操作してみて生成した楽曲のクオリティの高さには目を見張るものがありました。 

この記事は読者の皆様が音楽生成AIだけでなくいろいろな生成AIを実際に触って楽しむための足掛かりにしていただけると幸いです。