はじめに

フィンテックなど、既存の業界に最先端テクノロジーを組み合わせる「X-Tech」という言葉を目にする機会が増えてきました。ペットテックという言葉もX-Techの一種です。本稿はペットテックについて、その概要から種類、おススメ商品までをご紹介します。

ペットテック とは?

ペットテック(PetTech)とは、「ペット(Pet)」と「テクノロジー(Technology)」を合わせた造語です。IoTなどのテクノロジーを用いた、ペットの飼い主への支援やペット用品などのサービスを指します。簡単に言えば、スマホやPCを通して、家にいるペットのお世話だけでなく体調の管理・監視などをサポートしてくれるようなシステムになります。

最近は脱走した時用にペットにICチップを埋めることが推奨されていますが、ICチップによる個体識別機能(飼い主の住所などを読み取れる)もペットテックになります。犬猫などの主要ペットだけでなく、ヘビを始めとした爬虫類や熱帯魚向けの商品なども出てきており、ますます市場の発展が予想される注目分野です。

こんなに進化した!~ ペットテック 活用例~

数年前に、ペット用の見守りカメラや遠隔操作できるロボットカメラなどが話題になったことがありますが、ペット市場の規模拡大に伴い、ペットテックも年々進化を遂げています。え!?そんなこともできるの!?と思うものもあるかもしれません。今回はそんなペットテックの中から一部ピックアップしてご紹介します。

ペットテック~ご飯編~

まず、お世話の基本と言えば、「餌やり」です。家を出る前に餌をある程度置いておいて……という方法もできなくはないですが、あればあるだけ食べてしまうのが動物です。やっぱりきちんと時間も量も管理した方がペットの健康にも良いですよね。以前より、決まった時間に自動で決まった量を出してくれる「自動餌やり機」は、様々なメーカーから販売されています。

しかし、近年はその自動餌やり機能に加えて、スマホから遠隔で好きな時間にワンタッチで餌を与えられる機能が付いたものが出てきました。他にも、ペットがエサ入れに近づいたときに感知して様子を録画してくれる機能や、飼い主のスマホに通知が行くような機能が付いたものもあります。

また、海外製品にはなりますが「どのくらいの量を食べたか」というデータを収集して、餌をやるだけで終わらず“きちんと食べられたか”を飼い主が家に帰らなくても分かるようなものも出てきています。とりあえず、ご飯が食べられているなら大丈夫だろうな……という安心感が違いますね。

ペットテック 体調管理~トイレ編~

ペットの体調管理の指標として、一番分かりやすいのが「排泄物」のチェックです。量や回数、色などが目安になりますが、家を空けている間は確認が難しく、異変に気付きにくいものです。

ならば、トイレ自体に排泄物データを収集してくれる機能を付けてしまえばいいじゃない!という発想から生まれたのが、ペット用のシステムトイレです。ちなみにSHARPも参戦している大注目ペット用品の1つです。

取得されるデータは排泄物の量・回数だけでなく、体重や滞在時間(難排泄になってないかの指標)なども含まれており、さらには、ペットの顔を識別して個体ごとにデータを分けてくれるという多頭飼いの方にも便利な仕様となっている製品もあります。

特に猫は腎臓病のリスクが高い生き物で、日々の排泄物チェックが早期発見につながります。何か異変があったときにも、システムトイレから送られてきたデータを獣医さんに見せられるという点も安心してお留守番させられるポイントです。

ペットテック 今何してる?~見守り編~

「餌もトイレも大丈夫そう」となっても、じゃあそれ以外の時間は何しているの?と心配になることありますよね。冒頭でも述べたように、ペット用の見守りカメラは直接飼い主がリアルタイムで様子が見られるという点では見守り力が高いと言えるでしょう。ですが、家の中を歩き回るペットを出先から常に見ていることは難しいのが現実です。

そこで、最近注目されているのが、ペットに装着する「ウェアラブル型ヘルスケアデバイス」です。人間がスマートウォッチなどで心拍や歩数などを数値化し、健康管理に利用しているのと同じように、ペットも心拍や体温、行動をデータ化することで異変に気付きやすくするのが目的です。

収集された情報はもちろん飼い主のデバイスから逐次確認できます。例えば、何時にご飯を食べただとか、どのくらい運動していたか、何時にトイレに行って、水を飲んで、昼寝して……といった細かい行動データを取得し、さらに異変があれば即座に通知が飛ぶシステムになっています。なので、お留守番中に何かあったとしても、早めに対応ができる安心感が違います。

他にも、GPSが付いていて脱走時に居場所を特定できる機能があるもの、心拍や体温の数値から「感情」を検知するものなど、+αで様々な種類のデバイスがあります。

ペットテック 活用の注意点

あくまでも、これらのペットテック製品は「サポート」に過ぎません。確実に遠隔で管理ができる保証をするものではないことと、電気・電波を使用する性質上、停電に弱かったり、通信環境に左右されたりする可能性があることを念頭に置いたうえで、ご自身の目的やペットの種類・状態に合わせて活用いただければと思います。

おわりに

ペットテックの世界、如何でしたでしょうか。

デバイスの進化に伴ったIoT製品は人間の生活だけではなく、ペット業界にも進出してきており、ペットの状態ですらスマホ一つで確認できるところまでやってきました。これらで収集された情報は、日々の健康管理だけでなく、いざというときに病院に提出できる貴重なデータにもなります。人間と意思疎通が難しいペットたちの異変をデジタル技術で視覚化しているわけです。

これらのデジタル技術をうまく活用することで、飼い主の負担も減らせてペットも健康を保てて……と人にもペットにも優しい、より良いペットライフを満喫することができるかも知れません。