エンジニアファーストを掲げ、とことん「心地よさ」にこだわる社風。
直近7年間で売上高6倍、社員数10倍を記録。
超高成長のIT企業のエンジニア育成に迫る。

1980年、多くの家庭や企業にパーソナルコンピューターが普及された時代に創業した株式会社エーエスエル。制御・通信分野のソフトウェア開発に特化し、ソフトウェアの受託開発や業務用ソフトウェア開発の技術や体制支援を行っている。2015年には株式会社システム情報の100%子会社となり、大きな転換期を迎えたが、その後飛躍的に社員数と業績が拡大し、超高成長企業として成長し続けている。今回はそんな同社において、システム部の副部長として社員の技術力向上の一端を担う八木さんに話を伺った。

採用と教育:SES事業における教育の課題

当社では新卒採用はしておらず、経験者を中途採用しています。毎月だいたい10名弱、年間で100名くらいを採用していて、ここ7年で社員数が10倍に増えました。入社の決め手としてよく言われるのが、社長の人柄です。面接では「経歴書はもう見たから」と言って、応募者の人柄や考えを聞くスタイルです。時にはネガティブなことも聞くので、入社した方から「面接であそこまで話したのは初めてだった」と驚かれることも多いです。

採用手法としては求人媒体とリファラル採用がメインです。エンジニアファーストの社風を気に入ってくれた社員が宣伝してくれるおかげで、リファラル採用でも多くの人数を採用できています。また、当社には原価費用のみで飲食できる社員専用のレストラン&バーがあり、もちろんリファラル採用時にも使っています(笑)

2015年に株式会社システム情報の子会社になったんですが、それ以前はOJT中心で社員教育を行っていました。システム情報の子会社になってからは、最初は経験豊富な人材を中心に採用していましたが、近年ではIT経験2~3年目の異業種からの第2新卒も積極的に採用するようになりました。そのため、特に直近の数年間は教育の改善に力を入れています。

ここ数年の教育課題は、当社の主要事業であるSES事業と密接に繋がっています。SESの特性上、インフラと開発の両方のメンバーが在籍しているため、特定の技術に絞って教育をすることは難しいと感じていて、日々どのような学習材料を用意できるか模索しています。

私自身、これまで長い間業務システムを開発してきたため、業務システム寄りの考え方になってしまうことがありますが、近年は動きのある画面を求められることが多く、時代のニーズに合わなくなってきていると感じることが多いです。そのため、時代の流れに沿った教育をしていくことが私自身の課題でもあります。

幅広いスキル習得:外部研修の活用

社員教育に関しては、これまでに4つの外部研修を導入してきました。
⮚ Biz CAMPUS
⮚ Schoo
⮚ Udemy
⮚ BFT道場 – チョイトレ
Schoo以外の3つは現在も継続して契約している研修サービスで、用途に応じて使い分けています。

まず、「Biz CAMPUS」は一番初めに導入したサービスでした。もともとは社員の傾向を図るために「Biz SCORE」というIQテストのようなものを実施したことがきっかけでした。「Biz CAMPUS」は社会人スキルの向上に役立つため、現場でメールの書き方で怒られてしまった社員に案内を出したりしています(笑)

次に導入したのが「Schoo」です。転職してきた人から前の会社で使っていた教育サービスとして紹介してもらったのがきっかけでしたが、「Schoo」の講義は座学だけなので、技術面は浅く、内容がライト過ぎると感じる社員が多かったようです。

そんな中、社員から「Udemy」を受けたいという声が多かったため、最近「Schoo」から「Udemy」に乗り換えました。「Udemy」も「Schoo」と同様に座学がメインですが、問題集が付いていたり、プログラムのソースコードを見てそれを自身の環境に落とし込めたりするので、その点がメリットだと感じています。

最後は「BFT道場 – チョイトレ」です。こちらの導入理由は当社のエンジニア構成や技術トレンドの変化が大きく関わってきます。

現在の弊社のエンジニア構成は、開発が6割、インフラが3割強、そしてPMOやノンプログラミング領域が1割弱の割合です。もともとは開発エンジニアのみが在籍していましたが、その後の採用活動でインフラエンジニアが徐々に増えてきたため、インフラを教えられる人材が不足していました。

また、最近はクラウド案件が増えていますが、採用したインフラエンジニアがオンプレミスしか経験がないケースも多く、社員からもクラウド領域を学びたいという声が多くなりました。

もちろん、社内でも検証環境としてAWSのアカウントを貸し出したりしていますが、自分でクラウドの勉強をしようと思っても、後々とんでもない請求が来るんじゃないかと心配になったりして、実際にクラウド環境を触るのは少し怖いと感じる側面もありました。

そこで、社員の要望を叶えてあげたいと思い色々探していたところ、東京ビッグサイトで開催していた「IT Week」という展示会で、「BFT道場 – チョイトレ」を見つけました。当時、ブースに立ち寄って話を聞いたのは当社の社長だったのですが、とても雰囲気の良い会社だったと言っていたことを覚えています。

「BFT道場 – チョイトレ」はクラウドも含めた様々な技術を実環境で触れることができたので、社員に体験受講を受けてもらった時もすごく好評でしたし、「欲しかったのはまさにこれ!」って感じのサービスだと思いました(笑)

導入後も受講者には定期的にヒアリングしていますが、「ハンズオンで実機が触れるのがとても良い」といった声や「質問にタイムリーに答えてくれる」など、ポジティブな意見が多いです。

他の研修サービスは基本的にアカウントが人に結びつきますが、解約してまた別の人を申込むといった手続きを面倒に感じることが多いです。その点、チョイトレは固定で社員に割り当てて使うわけではなく、柔軟にアカウントを付け替えたりできる点も魅力に感じています。

未来への展望:意欲を引き出す教育アプローチ

私たちがエンジニア教育において大切にしているのは、何よりも社員自身の「学びたい」という意欲です。この意欲がなければ、どんなに素晴らしい教育プログラムも意味を成しません。そこで、社員の意欲に応える形で教育を提供しています。決して押し付けることはせず、自ら手を挙げるような形での教育を推進しています。

しかし、すべての社員が積極的に手を挙げるわけではありません。そういった場合には、案件変更の際に本人がやりたい案件を聞き、その案件に必要な技術を説明することで意識づけを行っています。このようなアプローチにより、社員一人ひとりの意欲を引き出し、成長をサポートしています。

現在、私たちのシステム部には430名のうち400名が所属しており、部長と私を含む2人の副部長で運営しています。もう一人の副部長は案件に関わっており、私も請負のチームを持っていますので、全体のマネジメントは部長が中心となって行っています。

社内での関わりとしては、部長をはじめとするサポートメンバーと面談を頻繁に行い、中途採用者が孤立しないように努めています。社員同士の横のつながりを強めるために、3ヶ月に一度全社員を集めて懇親会を開催しています。また、技術フィールドのコミュニティも作り、勉強会を行える環境を整えています。

このような取り組みの結果、離職率は業界平均の9%~10%に対して、私たちの会社では7%前後に抑えられています。また、エンジニアは自分で選んだ仕事に対して責任感を持ち、積極的に取り組むことができるため、結果的に顧客から評価を頂けているのだと思います。

今後の目標としては、SESのポテンシャルを広げるだけでなく、自社プロダクトの開発も視野に入れています。そのためには、これからもUdemyやBFT道場のような外部のサービスを活用しつつ、社内で補完する形で教育を行っていきたいと考えています。

また、2023年9月からは、教育専属の担当者を設けて、開発・インフラ間での技術転換を目指す社員のために、ポートフォリオ作成を行っています。社員一人ひとりがポートフォリオを持つことで実績を示せるようになり、営業活動にも良い効果がもたらされることを期待しています。

このように、社員の教育体制をさらに充実させ、ポートフォリオを作成し、技術転換を支援していくことで、これからも社員一人ひとりの成長を支え、共に未来を切り拓いていきたいと思います。

株式会社エーエスエル

  • 事業内容  WEB/オープン系アプリケーション設計・開発、各種インフラ設計・構築、ノンプログラミング開発、コンサルティングサービス(PMO)
  • URL   https://www.asl.co.jp/
  • 所在地   東京都中央区勝どき1丁目7番3号
  • 設立    1980年8月
  • 資本金   3千万円
  • 従業員数  440名(2024年6月現在)

八木 和人 様
システム部
副部長

2012年入社。入社後は主にPLとして複数のPJに従事し、エンジニアとしてのキャリアを積む。2020年にシステム部副部長に昇進。現在は請負チーム10名体制のPMを務めながら、社員育成のための教育設計も担っている。


この企業で利用している製品・サービス

BFT道場(チョイトレ)

BFT道場は「仕事で使える、仕事ができる」とは何かを考えて作られた教育サービスです。