「マナビDX」というWebサイトをご存じですか?
新型コロナウィルスの感染拡大を契機にテレワークが促進され、さまざまな業務のデジタル化が加速されました。また、AmazonなどのECサイトをはじめとした、オンラインでの消費活動が今まで以上に活発化し、国民生活、企業活動など社会のあらゆる場面でデジタル技術活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでいます。
ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためには経営層、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するメンバーはもちろん、組織を構成する方々の理解や協力が必要不可欠であり、そのためにはデジタル知識・能力を身に付けることが重要となってきます。
「マナビDX」は2022年3月に開設された、デジタルに関する知識・能力を身につけることができる研修コンテンツを紹介したポータルサイトです。経済産業省から委託を受け、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営を行なっています。つまり政府はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進における課題を重要視しており、その解決策の一つとして「マナビDX」というプラットフォームを用意しています。
今回は、「マナビDX」についてどのような講座があるのか、その利用方法や実践的な学習である「マナビDX Quest」についてもご紹介します。
目次
マナビDXとは
「マナビDX(デラックス)– [DELUXE ( Digitaltransformational Education and Learning platformfor Users × Engineers )]」は、前述の課題を解決するため、デジタル人材やDX人材を育成するプラットフォームとなることを目的として、デジタルスキルを身につける講座を紹介するポータルサイトであり、経済産業省の審査基準を満たしたDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する講座やオンライン研修を探すことができます。
掲載している講座の中には、受講費用等の補助が受けられる講座もあります。新着講座やおすすめ講座以外でも、デジタルスキル標準で定義されたレベルとスキルに沿って探すことができます。また、厚生労働省「人材開発支援助成金」(人への投資促進コース)の対象となる優良講座もあります。すでにある程度のデジタルスキルがある方はもちろん、これまでデジタルスキルを学ぶ機会が無かった方や、これから興味を持って学習を始めたいと思っている方々など、誰でも、デジタルスキルを学ぶことのできる学習コンテンツが用意されています。
マナビDXは有料? 無料?
マナビDXの講座は有料のものもありますが、多くの講座を無料で受けることができます。有料・無料の講座合わせて、約520件程度の講座がありますが、そのうち約100件を無料で受けることができます。
無料の講座でも人気の講座は
DXについての基礎知識を学びたい方向けの「デジタルトランスフォーメーション(DX)基礎講座」
IT やクラウドの基礎知識はあるけど、Google Cloud の基礎について知りたい方向けの「【無料認定トレーニング】Google Cloud Fundamentals: Core Infrastructure(初級・無料)」
AIの基礎からAzureを使用したクラウド AI サービスまで幅広く学べる「AI-900 資格試験対策コース」
などがあります。
DX人材とは?
DX人材とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために必要な人材のことです。DX人材は、ビジネスや社会の課題に対して、デジタル技術を活用して解決する能力や意欲を持ち、自ら学び続ける姿勢を示す人材です。DX人材は、以下のような特徴を備えています。
– デジタル技術に関する知識やスキルを持ち、それらをビジネスに応用できる
– デジタル技術の変化に対応できる柔軟性や創造性を持つ
– デジタル技術を活用して新しい価値やサービスを創出できるイノベーション力を持つ
– デジタル技術を活用して社会課題に取り組める社会貢献意識を持つ
– デジタル技術に関する最新の動向や情報をキャッチアップし、自ら学び続ける能力を持つ
DX人材は、現代社会においてますます重要な役割を担う人材です。DX人材は、自分の専門分野だけでなく、他の分野や業界とも連携してデジタルトランスフォーメーションを実現することができます。DX人材は、自分のキャリアやスキルを高めるだけでなく、社会全体の発展にも貢献できる人材です。
DX人材のできること
技術領域における DX 人材の役割は、デジタル技術やデータを活用する能力を活かして、ビジネスや社会の課題を解決することができます。具体的な例としては以下のようなものがあります。
– デジタル技術やデータを使って、新しい価値やサービスを創出すること
– デジタル技術やデータを使って、既存のビジネスプロセスや組織を改善すること
– デジタル技術やデータを使って、顧客や利用者のニーズやフィードバックに応えること
– デジタル技術やデータを使って、社会的な問題や環境問題に貢献すること
DX人材は、単にデジタル技術やデータに精通しているだけではなく、ビジネスや社会の変化に対応できる柔軟性や創造性も備えています。また、チームワークやコミュニケーション能力も重要です。DX人材は、自分の専門分野だけでなく、他の分野や業界とも連携して、イノベーションを生み出すことができます。
マナビDXでの学び方
では、マナビDXはどのように利用したらいいのでしょう?実際に、マナビDXのサイト上でも紹介されているステップに従ってご紹介します。
マナビのプロセス
社会のあらゆる場面でデジタル技術活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでいます。そのため、ITに関わる仕事に携わっていなくても、デジタル技術を理解して活用する能力(デジタルリテラシー)を身につけることが必要になっています。そのため、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が推奨する「DXリテラシー標準」に基づき、学習することを推奨しています。具体的には、以下のステップで進めることを推奨しています。
STEP1 デジタルリテラシーを身につける
STEP2 目指すゴールを決める
STEP3 DXを推進するためのスキルを知る
STEP4 マナビDXで講座を探す
実際にはどのように学べばいいのか
前述のプロセスのように、体系付けて学ぶことも効果的だと思いますが、実際には個々人でリテラシーの差もありますし、興味もさまざまです。そのため、これからデジタルリテラシーを身に着けたいと考えている方は、
IT/デジタルに不慣れな方にもDXの本質をわかりやすく解説する「DXリテラシー基礎講座」
DXについての基礎知識を学びたい方向けの「デジタルトランスフォーメーション(DX)基礎講座」
などがおすすめと言えるでしょう。
すでにある程度の知識をお持ちの方は、Python、AI、ChatGPTといった専門的な講座を学ぶことをおすすめします。
Pythonをこれから学ぶエンジニアの方向けの「はじめよう!Pythonで業務自動化」
インフラエンジニア、ネットワークエンジニアに興味がある、目指している方向けの「リモートワーク加速で需要急増のインフラエンジニアを目指そう:ネットワークの基本とTCP/IPの概要」
マイクロソフト認定資格AZ-900: Microsoft Azure Fundamentalsの資格取得を目指す方向けの「Microsoft Azure Virtual Training Day オンライントレーニングでクラウドの基礎を学び、無償で Azure の資格を取得しよう!」
エンジニアの方が実際の業務に役に立つであろう「テスト設計の基礎」
といった講座も全て無料で受講することができます。
マナビDXのその先は?
まずはマナビDX内で受講できる無料の講座で基礎を固め、興味のある有料の講座で専門的な部分に踏み込むといいかと思います。ですが、これではあくまで知識を蓄えただけであり、DX人材といえるかというと少々疑問符が付きます。
知識を蓄えただけでは「ビジネスや社会の課題に対して、デジタル技術を活用して解決する能力や意欲を持っている」というには不十分であるためです。
そのため、ビジネスの現場において実践の場が必要となってきます。しかしながら、そうそう機会に恵まれるものでは有りませんし、意欲だけでは任せてもらえません。そこでご紹介したいのが、「マナビDX Quest」です。
マナビDX Questとは
「マナビDX Quest」は、デジタル推進人材育成のために開発されたもので、デジタル技術を駆使してビジネス課題に挑戦する実践型の教育プログラムです。この教育プログラムを実践して、現場で活躍できる能力を高めることを目的としています。
プログラムの内容としては、企業データを用いたケーススタディや地域の中小企業との協働プロジェクトを通して、DXを推進するための変革思考やプロセスを身につけることができます。プログラムを進める上で、学びあう仲間とともに切磋琢磨(せっさたくま)し、幅広いデジタル人材のネットワークを築くこともできます。
マナビDX Questはどんなプログラム?
受講者は実際にDX推進プロジェクトを体験(Project-based Learning:プロジェクト型学習)し、おおよそ半年間のスケジュールでプログラムを受講します。多くの学生・社会人の方も受講できるよう、平日夜と土日祝日中心であることを想定したプログラムとなっています。オンラインで自律的に学ぶことが求められ、講師はおらず、受講者同士が学び、教え合うことで効率的に学ぶことを推奨しています。
内容は大きく2つに分かれており、「ケーススタディ教育プログラム(PBL)」と「地域企業協働プログラム」となっています。
ケーススタディ教育プログラム(PBL)
「AIの実装を通じたDXプロジェクト」、「データ駆動型の変革推進」といった、PBL (Project-based Learning:プロジェクト型学習)を通して、各課題について、実際のプロジェクトと同様のアプローチや推進方法を体験します。
デジタル初心者/経験者問わず、プログラムに参加可能です。そのため、実際の業務のように個々のレベルもさまざまな状況でお互い助け合う、今後の人間関係を築くといったことも目的となっています。
こちらで動画による紹介も行っています。
地域企業協働プログラム
実際に地域の中小企業と2ヶ月間かけて、チームで課題解決に取り組み、経営陣・担当者との協働による実体験を通じて、企業のDX推進を体験するプログラムです。
経営陣・担当者とDXを推進する実体験を通して、プロジェクトを推進する際の難しさや勘所・ポイントの理解を得ること、実践により自身の経験とすることを目的としています。
こちらで動画による紹介も行っています。
マナビDX Questでなにが身に付く?
受講するプログラムにより、身に付けられるスキルは異なりますので一概に紹介はできませんが、DX人材としての一歩を踏み出す、ステップアップできることは間違いないでしょう。また、プログラム期間中は、受講生同士交流しながら学習を深めるため、今後のビジネスにおける人脈も築けるでしょう。修了時には以下のようなスキルや経験が身に付くでしょう。
実践的なDXの考え方とプロセスの習得
DX(デジタルトランスフォーメーション)において、現場の課題を解決するプロセスを学べます。ビジネス全体を俯瞰(ふかん)し、DXを構想し、具現化する力を身につけることができるでしょう。
学び合う仲間とのつながり
他の参加者と切磋琢磨(せっさたくま)しながらプログラムを進め、Slackや交流会を通じて学び合います。修了時には今後のビジネスにもつながる人脈が築けることでしょう。
コミュニティの構築
修了生コミュニティを通じて、ネットワークを築き、DX人材として、日本の経済・社会を前進させる一員として活躍する能力・コミュニティを持つことができるでしょう。
実践的なスキルの習得
DX推進プロジェクトを体験し、デジタル技術を活用したスキルを磨きます。データ活用やビジネス変革に関するスキルを深めることができます。
まとめ
本記事では、マナビDXについて解説しました。
国民生活、企業活動など社会のあらゆる場面でデジタル技術活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでいます。ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためには経営層、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するメンバーはもちろん、組織を構成する方々の理解や協力が必要不可欠であり、そのためにはデジタル知識・能力を身に付けることが重要となってきます。
マナビDXはDX人材を育成するためにデジタルに関する知識・能力を身につけることができる研修コンテンツを紹介したポータルサイトです。
そして、学ぶだけではとどまらず、実践の場として用意されているのが「マナビDX Quest」です。ケーススタディ教育プログラム(PBL)と地域企業協働プログラムを通じて、実践的なDX推進のプロジェクトを経験することを目的としています。
デジタルスキルは一朝一夕で身につくものではありません。本記事でご紹介した内容を参考に、自分のレベルや目的に合わせて学習・経験を積んでいただければと思います。