日本の携帯電話料金は世界の主要都市と比べても高額で、家計を圧迫する1つの要因となっている。との言葉から政府は大手携帯会社に料金の値下げを要請し、ahamo, povo, LINEMOのようなプランが生まれました。
ですが、 MVNO ( 格安SIM )と呼ばれる携帯電話会社があることはご存じでしょうか?
総務省も、「携帯電話ポータルサイト」を通じて、自分にあった料金プランや携帯会社を選択できるよう、情報発信を行っています。

先日、docomoからもエントリープランとして、ドコモのエコノミーMVNOが発表、すでにサービス提供されています。
「OCNモバイルONE」が「ドコモのエコノミーMVNO」として連携10月21日より全国のドコモショップで取り扱い開始

今や、生活にも仕事にも欠かせないスマートフォン、今回は今さら聞けないスマートフォンの基礎知識として、MVNO ( 格安SIM )について、基礎知識としくみなどについてご紹介します。

キャリア? MVNO? MNO? 格安SIM ?

携帯電話会社の仕組みなどをご紹介する上でよく出てくる言葉です。
まず、キャリアは携帯キャリアと呼ばれることもあります。携帯キャリア=ブランドと思っていただければ問題ありません。docomo, au, SoftBankといった大手キャリアやIIJmio, BIGLOBEモバイルなども携帯キャリアです。

MNOとは

MNOは(Mobile Network Operator)の略で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのように自社でネットワーク整備をする大手の携帯会社のことを指します。大手携帯電話会社のサービスは、ショップを構えるなどでサポートが手厚い傾向があります。また、大手キャリアと呼ばれることもあります。いわゆる携帯電話登場当初などから携帯電話の販売を行っている会社のことです。近年楽天モバイルがMVNOからMNOになった事により、競争が促進されています。以下が執筆時点におけるMNOの一覧です。

MNO,MVNO
出典:総務省ホームページ (https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/index.html)

MVNO とは

MVNOは(Mobile Virtual Network Operator)の略で、MNOからネットワークを借りてサービスを提供する携帯会社のことを指します。MNOにVirtual(仮想)という言葉が追加されていますね。MVNOは大手携帯会社からのネットワークを借りて運営されるため、自社でネットワーク整備をする必要がありません。そのため、気軽に参入する事ができ、その数はかなりの数があります。その総数は正直把握できません。

申込みに関しては、オンラインのみの申込みがほとんどで、ショップを持たないことから、サポート品質はMNOと比較して1ランク落ちるとされています。
自社でネットワーク整備をする必要がない分、初期投資が少なく済むことが多く、料金に反映されています。

大手キャリアより安価に利用できることから、格安SIM と紹介され、その名称が定着しています。ですが、大手キャリアのプラン値下げにより、アドバンテージであった価格というメリットが失われつつあるため、競争が激化し、動画サービスや、ゲームの通信量をカウントフリーとする独自プランを打ち出す会社も見られます。
以下が、MVNOの一部の例です。

MNO,MVNO
出典:総務省ホームページ (https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/index.html)

MVNO の仕組み

MVNOとは、自社でネットワーク設備や回線網を持たずに、MNOから回線網を借りて通信サービスを提供している会社です。

MNO,MVNO
出典:総務省ホームページ (https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/keitai_portal/q6.html)

そのため、もととなる回線は大手キャリアと契約しても、いわゆる格安SIMを利用しても実は同じ回線を使っている、ということです。
混同しやすいのが、「MVNO=格安SIM」ではないということです。格安SIMというサービスを提供している事業者がMVNOですので、「MVNO=格安SIM事業者」ということです。

格安SIMについては「別記事にて紹介・解説予定です。

MVNO が生まれた経緯

1990年代当時、携帯電話市場は当時の大手キャリア以外の選択肢はほぼありませんでした。そんな中、いわゆるMVNOの必要性を説いたのが、1996年に日本通信を創業した三田聖二氏です。
これに影響を受けて、2000年に総務省(当時の郵政省)が「次世代移動体通信システム上のビジネスモデルに関する研究会」を設置します。第3世代移動通信システム (3G)が社会経済に与えるビジネスインパクトを分析するとともに、ビジネスモデルの発展を探るという、当時としては画期的な議論がされたと言われています。

この後、日本通信が初のMVNOとして「b-mobile」をスタートさせました。

MVNO 事業者はどれくらいあるのか?

総務省が四半期ごとに発表している、「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和2年度第3四半期(12月末))」によるとMVNOの事業者数は1,476社と言われています。うち、契約数が3万回線に満たない、いわゆる小~中規模な事業者は1,342社にものぼります。
では、なぜこれだけの事業者が参入できているのでしょうか、ここにはMVNEが大きな役割を果たしています。

MNO,MVNO
出典:総務省ホームページ (https://www.soumu.go.jp/main_content/000738956.pdf)

MVNEとは?

MVNEとは「Mobile Virtual Network Enabler」の略で、日本語で言うと「仮想移動体サービス提供者」です。つまり、MVNO事業者をサポートする事業者です。

格安SIMの事業を始めるには回線や端末の調達のほか、課金方式や、請求方法やサポート体制を整える必要があります。そのため、MNOに比べて費用が安く済むと言ってもその参入はかんたんなことではありません。

このような、事業を始める際の障壁を乗りこえるサポートをしてくれるのが、MVNEです。IIJやNTTコミュニケーションズなど大手のMVNOは、自社で格安SIMサービスを展開しながら、他社のMVNO事業参入のサポートもしています。

MVNO の事業モデル

MVNOの事業モデルはさまざまな分類に分けることができます。ですが、利用者側の視点で見たときには、単純再販型 – MVNO側にネットワーク設備がないものとレイヤー2接続 – MNOとMVNOのネットワーク設備がレイヤー2で接続しているものの分類で見るとわかりやすいです。

単純再販型はその言葉の通り、MNOやMVNEが用意した通信サービスを再販するだけです。そのため、参入は容易ですが、収益性は低く、独自性を出すことはできません。
レイヤー2接続はネットワーク設備を用意する必要があるため、初期投資が必要で参入の難易度は高いですが、その後の収益性が高く、独自サービスを提供できるため、独自色を打ち出したサービスを提供できます。

 参入難易度収益性独自性
単純再販型低い低い難しい
レイヤー2接続高い高い容易

格安SIM市場が盛り上がりを見せたのは、大手携帯会社の料金に不満を持っていた方が多かったという背景もあるでしょうが、レイヤー2接続型の企業が参入し、独自性を打ち出すサービスが増えたからと言っても過言ではないでしょう。

レイヤー2接続については「MVNOを変えた“レイヤー2接続”とは?」が参考になります。

MVNEの事業者

MVNOのサービス内容はMVNEに依存する部分も多く、どのMVNEを選ぶか?はMVNO事業者にとって、一つの戦略となります。利用者としてはどのようなサービスが受けられるかの選択肢の一つに、MVNE事業者を選択の一つに入れてもいいのかもしれません。

以下にdocomo系のMVNE事業者の一例をご紹介します。

名称MVNOMVNE
OCN モバイル ONENTTコミュニケーションズNTTコミュニケーションズ
ASAHIネット LTE朝日ネット
@モバイルくん。SORAシム
NifMoニフティ
やまとモバイルネクストパワーやまと
@Sモバイル静岡新聞SBS
CBCスマホ中部日本放送
イオンモバイル タイプ2イオンリテール
インターリンクLTE SIMインターリンクNTTPCコミュニケーションズ
mineo Dプランオプテージオプテージ
Fiimo DプランSTNet
nuroモバイルソニーネットワークコミュニケーションズソニーネットワークコミュニケーションズ
ロケットモバイル プランDIoTコンサルティング
リペアSIM Dプランギア
スマホドックモバイルバルテック
イプシムWITH Networks
IIJmio タイプDインターネットイニシアティブインターネットイニシアティブ
BIC SIM タイプDラネット
Tikimo SIM タイプDエヌディエス
エキサイトモバイルエキサイト
919モバイルイーエムアイ→エクスゲート
hi-ho LTEハイホー
G-Call SIMジーエーピー
ECJOY!モバイルアイ・アンド・ティー
エックスモバイルエックスモバイル
QTmobile DタイプQTnet
イオンモバイル タイプ1イオンリテール
ケーブルスマホケーブルテレビ各局
BIGLOBEモバイル タイプDビッグローブビッグローブ
FUJI Wifiレグルス
b-mobile日本通信日本通信
日本通信SIM
HISモバイルH.I.S.Mobile
ヤマダ ニューモバイルY.U-mobile
DTI SIMドリーム・トレイン・インターネットフリービット
トーンモバイルトーンモバイル→ドリーム・トレイン・インターネット
スマモバガゼル→スマートモバイルコミュニケーションズ
AIRSIMモバイルエア・コミュニケーション
y.u mobileY.U-mobile
レキオスモバイルレキオスレキオス
LIBMOTOKAIコミュニケーションズTOKAIコミュニケーションズ
LinksMateLogicLinksLogicLinks
ワイヤレスゲート SIMワイヤレスゲートレンジャーシステムズ
Wonderlink LTE Fシリーズパナソニック富士通
ピクセラモバイルピクセラ楽天コミュニケーションズ
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 2021年5月時点

MVNO のこれから

フルMVNO

2017年以降、「フルMVNO」と呼ばれるサービスを開始したMVNO事業者が現れ始めました。
「フルMVNO」は移動体通信のコアとなるネットワークの一部を、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといったMNO(Mobile Network Operator)の設備を利用せずに自らサービス提供を行う事業形態のことを指します。利用者側に大きく関わる部分としては、独自にSIMカードを発行できるということです。MVNOのSIMカードは、実はMNOが発行したSIMカードです。これがなくなり、独自にSIMベンダから調達したSIMカードで様々なサービスが提供できるようになることで何が変わるのでしょうか?

IoT分野への活用

たとえば、今一番注目を集めているのは「eSIM」の発行が可能になることです。eSIMは、リモート操作でSIMの事業者情報を変更できるSIMなのですが、フルMVNOでは、MNOがeSIMを発行していなくてもMVNOのeSIMを発行する事が可能になります。
これでなにが便利になるのかというと、モバイル通信を行いたいが、SIMの挿し替えができないような小さな機器などにもSIMの組み込みが可能になります。これにより、モバイル通信サービスと組み合わせて新たな可能性が広がると言われています。
特に、IoTの分野でさまざまな応用が可能になると考えられています。

eSIMについては、「eSIMとは? 基礎知識とそのメリットとは?」で紹介・解説しています。

まとめ

身近なデジタル機器、ITにふれる入り口として、スマートフォンについて、今さら聞けないスマートフォンの基礎知識としてとりあげてみました。
今回は、MVNOについて取り上げさせていただきました。格安SIMとも混同されがちですが、その違いについてもご理解をいただけたかと思います。

スマートフォンは、生活にも、仕事にも欠かせないデジタルデバイスとなっており、テレワークでも2要素認証に使用することがあったり、ZoomやGoogle Meetを始めとしたWeb会議でも使用したりと、利用するにも知識が必要となってきます。

IT業界に身を置くものとして、より皆様のITに対する知識が深まるよう、本サイト名である「Users Digital – テクノロジーをユーザの手に」の名の通り、ITに不慣れで、あまり意識せずに使用されている方にも向けた、身近なテクノロジーについての情報を発信して参ります。