はじめに

クラウドPBX(スマートフォンの内線化) とは、従来の事務所に設置しているビジネスフォンのPBX(電話交換機)を、インターネット上に設置するサービスです。今回はこのクラウドPBXの仕組みとサービスをご説明します。

クラウドPBX(スマートフォンの内線化)とは?

クラウドPBX(スマートフォンの内線化)は従来の設置されたPBXをクラウドに移し、インターネット回線を使用し通話および通信を行うサービスです。インターネット環境さえあれば電話環境を構築できるという特徴があります。

また、機器の設置などが必要なく、サービス化されているため、契約後サービスが利用できるまでの期間が通常のPBX設置と比べて短い期間で済みます。

テレワーク 働き方改革 DX デジタルワークスタイル クラウド スマートフォン内線化

クラウドPBX(スマートフォンの内線化)のメリット

・内線通話はどこにかけても無料
内線電話として設定してある端末間の通話は全て内線電話として扱われるため、自宅からリモートワークを行っている社員間の通話は、インターネット接続さえあれば内線として無料で通話が出来ます。

・個人の業務用端末から会社の代表番号で発信できる
通常、社員個人が持つ端末からどこかに発信する場合、着信を受けた相手にはその端末固有の電話番号が表示されますが、クラウドPBXを利用することで個人の端末からも会社番号で発信することが可能になります。知らない番号からの電話は応答に躊躇してしますが、会社の代表番号であれば、相手側も応答のハードルが下がります。

・社員個人の電話を業務用携帯として利用できる
社員個人が持っているスマートフォンなどを業務用の電話として利用することができます。この社員が保有している端末を業務に利用することをBYOD(Bring Your Own Device)と言います。在宅勤務やテレワークを実施している社員に、専用のアプリをインストールしてもらうことによりビジネスフォンとして使用することができます。

クラウドPBX(スマートフォンの内線化)のデメリット

・音声品質がインターネット環境に依存する
インターネットを経由して電話サービスを利用する仕組みになっている以上、音声品質がインターネット環境に依存することは避けられません。ネットワーク環境が悪いところや混雑する時間帯には、音声が聞こえづらい、ラグ(遅延)が発生するなどの影響が考えられます。

・0ABJ番号が使えないこともある
メリットで代表番号での発信ができるとご紹介しましたが、利用するサービスによっては使用できないこともあります。0ABJ番号とは東京なら03、横浜なら045のような市外局番のことです。こちらが利用できない場合は050などのIP電話の番号が割り振られます。

・追加の費用が発生する
新たにサービスを契約するので、当然費用は発生します。費用は提供するベンダーごとに異なりますが、使用するユーザー(回線)数に応じて費用が上がる仕組みが多いようです。

クラウドPBX(スマートフォンの内線化)サービス一覧

トビラフォン Cloud

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・個人のスマートフォンを内線化して、利用する
・050番号を使用するため低コスト

トビラフォンCloudは個人で所持しているスマートフォンに専用のアプリを導入し、内線化する形式のクラウドPBXです。現在使用している番号を使用することはできず、新たに050の番号を取得してサービスを利用する必要がありますが、その分コストが抑えられ契約期間の縛りもないことから気軽に試すこともできます。

IP電話の形態を利用するせいか、ネットワーク環境による影響を受けやすく、時々聞こえづらいなど通話品質において改善の余地があるようです。

Dialpad

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・0ABJ番号も利用可能
・Google Workspace, Office 365, Salesforce 連携

DialpadはSalesforceをはじめとした各種SaaSとの連携が非常に強いクラウドPBXです。現在使用している0ABJ番号を引き継ぐこともできます。PCから発信をして、Salesforce上の顧客情報に通話内容をメモしておく、といった使い方もできます。もちろん個人のスマートフォンに専用アプリをインストールすることにより、社用携帯として利用できます。

やはり、ネットワーク環境による影響を受けやすく、時々聞こえづらいなど通話品質において改善の余地があるという声が挙がっています。

Arcstar Smart PBX

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・マニュアル、動作確認済み端末などの情報が豊富
・通話品質は非常に好評

Arcstar Smart PBXはNTTコミュニケーションズが提供するクラウドPBXです。
現在使用している0ABJ番号を引き継ぐこともできます。日本企業であることもあり、コロナ禍のテレワークにおいて課題となっている電話番のための出社などの課題への提案が見受けられます。他にもWeb上でのマニュアルが充実している、動作確認済み端末の数が充実しているなど、導入に際しての障壁を取り除こうとしている姿勢が見られます。他サービスと同様、個人のスマートフォンに専用アプリをインストールすることにより、社用携帯として利用できます。

ナイセンクラウド

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・1回線からの契約が可能で低価格
・職場意識改善助成金(テレワークコース)に対応

ナイセンクラウドは名前そのままのサービスですね。テレワークにおける会社電話の発着信と内線化に絞ってサービスを提供しています。そのため、現在使用している0ABJ番号を引き継ぐこともできます。大きな特徴は1回線からの契約が可能で、初期費用および月額費用も他サービスに比べて低額なことから、非常に導入しやすいサービスと言えるでしょう。

Asterisk / FreePBX

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・OSS のためソフトウェア費用は不要
・自組織で構築、導入が行える

最後はAsterisk / FreePBXをご紹介します。こちらは今まで紹介したサービスとは異なり、OSS (オープンソースソフトウェア)による製品です。そのため自身で構築・導入が必要になりますが、サービスのように制約に縛られることはなく、自由に設定が出来ます。もちろん、スマートフォンにアプリを導入すれば、内線番号を割り振ることも、外線からの着信を受けることも可能です。構築・導入の方法はWeb上に情報がありますので、興味のある方は、ご自身でクラウドPBX導入に挑戦してみてください。それぞれ以下からダウンロード可能です。
Asterisk
FreePBX

まとめ

今回は、クラウドPBX(スマートフォン内線化)をご紹介しました。こういったツールを導入して、皆様のテレワークへの移行を後押しできれば幸いです。

これまでの慣例や習慣を重んじるあまり、テレワークになかなか踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。マスメディアなどのインタビューでは、本当はテレワークがいいけれど、上司が電話番で出社しているから、自分も出社しないわけにもいかない。という話もあります。

そうした課題を解決するためには、確かに多少の工夫と妥協、時には費用が必要なのも事実ですが、テクノロジーが進んでいる今では、おおむね解決できるものが多いのではないかと思う次第です。