1.はじめに
ワークスタイルの変化に伴いオンラインで人と接する機会が増えており、これまでの対面でのやり取りがオンラインに、その場を移すようになりました。それによって、これまでは対面だったから困ることのなかったタスク管理がしにくくなったり、打ち合わせや会議の場におけるホワイトボードを使った説明も、オンラインであるが故に使えなかったり、といった課題が見えてきています。
※よく使われるオンラインミーティングツール(zoom、Google meets等)では、図や文字を書きながらの説明にはあまり向いていないのが実情ではないでしょうか。
今回はオンラインならではのこうした悩みを課題解決するために活用し得るタスク管理用ツールやホワイトボードツール各種をご紹介するとともに、使用方法やユースケースについても触れてみたいと思います。
2.タスク管理ツールの紹介
Trello
視覚的に分かりやすいカンバン方式のタスク管理ツールです。
タスクの説明や期限、関連する添付ファイル等の詳細情報を管理する「カード」、カードをタスクの進行状況(未着手・実施中・チェック待ち等)や実施期限といった管理しやすい種類別に分類する「リスト」、リストを壁に張り付けた付箋紙の様な表示形式で管理する「ボード」の3つの要素でタスク管理を行い、複数のボードを「チーム」として管理することが可能です。
ボードの公開範囲についても、ボードメンバーのみがアクセス可能な非公開設定、チームメンバー全員がアクセス可能なチーム設定、外部に完全公開する公開設定があるため、利用用途に応じて公開範囲を設定することでセキュリティの担保が可能となります。
※執筆時点で、Trelloの個人情報が流出したという情報が飛び交っており、運営人が声明を出す騒ぎになっています。声明の内容は以下の記事でも紹介されていますが、必ず、公開範囲を明確に設定することをおススメします。
ITmediaNEWS:流出騒ぎのTrello、運営元が声明 「初期設定は『非公開』」「意図しない情報漏えいを止めるためサポート」
また、これまでに紹介した機能は無料版でも使用可能ですが、有料版では添付ファイルのサイズ上限が10MB→250MBに増加したり、ボードに連携可能なアプリケーション数が無制限になったり等、利便性が大きく向上します。

Evernote
タスク管理に利用可能な言わずと知れたメモアプリです。
テキスト情報はもちろん、画像や動画、PDFファイルといった形式のデータについても保存が可能であり、様々な形式のデータを一括で管理することが可能です。
また、チェックボックス機能によりToDoリストを作成してタスク管理を行う。リマインダーの設定で作業漏れを防ぐ。メモの共有機能により自身で作成したメモのメンバー間での共有を行う。といったタスク管理に必要な機能が一通り揃っているため、メモ帳を利用するような気軽さで、しっかりとタスク管理を行うことが可能です。
さらに、注釈付きでWebページを保存・共有可能なWebクリッパーや、メモにタグ付けを行うことで後からメモを探しやすくする等といった便利機能も備わっています。
有償版では上記の機能に加え、一括保存したPDFやOfficeファイル内部の文字検索が可能、月間アップロードサイズが60MB→10GB以上に増加、共有スペースでの共同作業が可能などといった機能が新たに使用できるようになります。

3.デジタルホワイトボードツールの紹介
miro
複数人での共同編集が可能なデジタル(オンライン)ホワイトボードツールです。
図や付箋の作成といった物理的なホワイトボードでできることはもちろん、カンバン方式やマインドマップ、概念図やフローチャートなどといった豊富なテンプレートが用意されており、使用用途に応じてそれらを使い分けることが可能です。
ボード全体のノートが用意されており、サマリやワークリストをここに用意することで作業全体の管理が行いやすくなります。また、コメント入力機能を使えば、ボード内の好きな個所にコメントを残すことが出来るほか、コメントに用意されているResolveチェックを使用して「修正箇所にコメント→確認者がResolveチェックを入れる」といった形でレビュー機能としても利用することができます。

Witeboard
同じく、共同編集可能なデジタル(オンライン)ホワイトボードサービスです。
上述したmiroとの大きな違いとしては、アカウント登録無く、利用可能なWebブラウザサービスであるという点が挙げられます。機能自体は手書き入力・直線・テキスト入力とかなり限定的なため、オンラインホワイトボードサービスの使用を検討している場合の使用感の確認など、サービスの触りとしての利用に向いていると言えます。
Zoom Whiteboard
Zoomで用意されているホワイトボード機能です。既にZoomを使用している環境では別途ホワイトボードツールを導入することなく利用を開始できます。機能についても、手書き入力や図の挿入、テキスト入力にレーザーポインタ機能も用意されているため、あまり複雑なことを求めず、簡単な図示でオンライン会議の補助として利用する場合にはオススメといえるのではないでしょうか。
4.利用シーン(ユースケース)の紹介
各ツールの説明でも少し触れましたが、これらのツールをどのような場面で利用するか、その一例を紹介いたします。
4.1.タスク管理

チーム全体のタスク管理を行う
複数の工程からなるプロジェクトを進めるにあたっては、タスクそのものの進捗だけではなく、タスク管理を適切に行うことが重要になります。
そこで、Trelloを利用することでチームリーダーは各タスクの人員や期限をカードで管理し、メンバーは各タスクの進捗に応じてカードのリスト分けを行ったり、タスクの問題点などをコメントで確認したりするといった流れでメールによる煩雑なやり取りをせずにタスクを進めていくことが可能となります。
メンバー間でのタスク連携や、ふとした気づき等を共有する
同じ資料を複数人で作成するタスクを行う場合、資料全体の整合性を確保するために、他の作成者と認識合わせを行う必要が出てきます。
そうした場合は、Evernoteを利用することで資料作成に用いた情報の参照元や全体で統一するべき表現の共有、各分担のチェックリストを用意することで各自の進み具合(進捗)を共有することで、横断的に状況を共有し、生産性を上げることができます。
4.2.デジタルホワイトボード

オンラインミーティングでの図や文字用いた説明
急な打ち合わせや事前に準備した資料の詳細説明を求められた場合、口頭での説明だけでは伝えたい内容が十分に伝えられない場合、読者の皆様も経験したことがあると思います。
miroを利用すれば、そうした場合でも、図を交えた説明を行うことができるため、対面でのホワイトボードを利用するような感覚で会議を進めることが可能となります。また、対面ではやり辛かった複数人でのホワイトボードの同時利用についても、こうしたデジタルホワイトボードを利用すれば、解消することができるので、複数人で意見を出し合うブレインストーミング等、場合によっては対面よりもやりやすいケースもあると思います。
オンラインワークショップでの議論
対面ではいつものように、グループ分けをし、それぞれのグループごとに、各々が思ったことを付箋に書いたうえで、ホワイトボードや近くの壁に貼っていくことをしていました。
まったく同じとは限らないものの、オンラインでも上述したmiroのようなデジタルホワイトボードサービスを上手に利用することで、同じようなことができるようになります。
こうしたワークショップの場合は、zoomなどのオンライン会議ツールのブレイクアウトルームのような部屋割り機能に加えて、全体として大きなデジタルホワイトボードを用意し、それぞれの領域を分けて利用することで、少人数で行うグループワークからの全体での共有ができるようになってきます。
5.おわりに
ここまで、タスク管理ツール・デジタルホワイトボードツールについて簡単にご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回紹介させていただいたツールは、比較的認知度の高い代表的なものにすぎません。この記事を足掛かりに、いろんなツールを探してみてはいかがでしょうか。
また、他にも様々なツールをご紹介しておりますので、興味のある方は関連記事も是非ご確認ください。
https://www.users-digital.com/category/user/
この記事が、皆さまの「オンラインだからできない。諦めていた。」というお悩みに少しでもヒントになれたなら幸いです。