2023年12月にGoogle Cloud認定試験の一つであるAssociate Cloud Engineer に合格しました。Associate Cloud Engineer試験合格に向けて行った勉強方法、実際に試験を受けた感想をご紹介します。これからAssociate Cloud Engineer試験を受験しようと考えている方の参考になれば幸いです。

また、Google Cloud (旧Googole Cloud Platform (GCP))の概要からGoogle Cloud認定資格の資格レベルなどについてもご紹介します。Google Cloudについて興味のある方やスキルアップの一環としてGoogle Cloud認定資格の取得を考えている方の参考になれば幸いです。

Google Cloud (旧Googole Cloud Platform (GCP)) とは? 

Google CloudとはGoogleが提供するパブリッククラウドサービスです。Amazonが提供するAmazon Web Services (AWS)やMicrosoftが提供する Microsoft Azureと並んで三大クラウドサービスの一つに数えられます。三大クラウドサービスの違いなどはこちらの記事で紹介しています。

Google Cloudの特徴はGoogleの最新技術をシステム開発に利用できる点です。特にAI技術やデータ処理技術は他のクラウドサービスと比べてもかなり優れており、大規模なデータ処理や解析、Googleの最新技術を使った機械学習やAI開発が行えるサービスが揃っています。

また、GmailやGoogle Maps、YoutubeなどのGoogleが提供するサービスにも使用されているインフラをシステム開発などに利用することができ、高速かつ安定したネットワークでデータの配信などが行える点もGoogle Cloudの特徴です。

Google Cloudの資格一覧 資格レベル、合格率は? 

Google Cloud認定資格一覧

Googleが実施しているGoogle Cloud認定資格は、その名の通りGoogle Cloudに関する知識や技術の習熟度をはかる資格です。取得することでGoogle Cloudを中心としたクラウド技術に関する知識、技術があることを証明できます。世界で最も高収入なIT資格ランキングのTOP20にGoogle Cloud認定資格が複数ランクインしており、世界的に見ても非常に価値の高いIT資格です。取得することでスキルアップだけでなく、自身の市場価値を高めることにも役立つと言えるでしょう。

Google Cloud認定資格は全部で11種類あり、難易度の低い順に「基礎的な認定資格」、「アソシエイト認定資格」、「プロフェッショナル認定資格」の3つのカテゴリーに分類されます。

基礎的な認定資格を取得すると、Google Cloudに関する基礎的な知識とサービスの使用方法などに関する知識があることを証明できます。アソシエイト認定資格を取得することにより、Google Cloudを活用したクラウドソリューションの設計、構築、運用を行う能力があることを証明できます。プロフェッショナル認定資格は分野ごとに9つの資格に分かれており、取得することでGoogle Cloudを活用した設計、実装、管理の高度なスキルと各分野の専門的なスキルを有していることを証明できます。

Google Cloud認定資格の資格一覧とそれぞれの試験情報を以下の表にまとめましたのでご覧ください。

資格レベル資格名資格概要(証明できる能力)問題形式・問題数試験時間受験費用対応言語
基礎的な認定資格 Cloud Digital LeaderクラウドコンピューティングとGoogle Cloudに関する基礎的な知識60~70 問の多肢選択(複数選択)式2時間$99英語、日本語
アソシエイト認定資格Cloud EngineerGoogle Cloudを活用したクラウドソリューションの設計、構築、運用50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$125英語、日本語、スペイン語、ポルトガル語
プロフェッショナル認定資格Cloud ArchitectGoogle Cloudを活用した設計、構築、運用の高度なスキル50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語、日本語
Cloud Database EngineerGoogle Cloudを活用したスケーラブルで可用性の高いクラウドデータベースソリューションの設計、管理50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語
Cloud DeveloperGoogle Cloudを活用したスケーラビリティ、可用性、信頼性に優れたアプリケーション開発50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語、日本語
Data EngineerGoogle Cloudを活用した堅牢なデータ処理システムの作成、管理50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語、日本語
Cloud DevOps EngineerGoogle Cloudを活用してシステムとサービスを最適化して保守するプロセスの実装50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語、日本語
Cloud Security EngineerGoogleのセキュリティ技術を利用した安全なソリューションの設計、開発、管理50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語、日本語
Cloud Network EngineerGoogle Cloud ネットワークの設計、管理 安全かつ効率的な方法で共同作業、データ通信、データへのアクセスができる50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語、日本語
Google Workspace AdministratorGoogle Workspaceの構成、管理50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語、日本語
Machine Learning EngineerGoogle Cloud のテクノロジーとモデルや手法の知識を使用したML モデルの構築、評価、商品化、最適化50~60 問の多肢選択(複数選択)式2時間$200英語、日本語

資格レベル

各カテゴリーには推奨される経験というものが公式サイトに記載されています。資格カテゴリーごとの推奨される経験は以下の通りです。

・基礎的な認定資格:技術プロフェッショナルとのコラボレーション経験

・アソシエイト認定資格:6か月以上のGoogle Cloudの実務経験

・プロフェッショナル認定資格:3年以上の業界経験と1年以上のGoogle Cloud の実務経験

上記のように推奨される経験が定められていますが、こちらはあくまで推奨であり、受験に必須の条件ではありません。Google Cloud認定資格はどの資格も18歳以上であればどなたでも受験可能となっています。そのため、上記の推奨される経験はどのGoogle Cloud認定資格を受験するかの選定基準として考えればよいかと思います。

クラウド経験の浅い方やこれからGoogle Cloudについて学習を始めたいという方は基礎的な認定資格の取得から目指すと良いでしょう。すでにある程度のクラウド経験やGoogle Cloudを扱った業務経験のある方はアソシエイト認定資格やプロフェッショナル認定資格に挑戦し、スキルアップを目指すと良いでしょう。

合格率

Google Cloud認定試験では各試験の合格点や合格率などを公表していません。受験後も合否の通知が届くだけでスコアなどは受け取れないようになっています。

どれくらい正答できていればいいか分からないのは試験勉強を進めるうえで不便ではありますが全問正解に近い結果を残せるよう十分な試験勉強を行って試験に臨みましょう。

Google Cloud認定試験はすべて60問前後の多肢選択(複数選択)式の問題となっています。試験時間はすべて120分なので約2分に1問のペースで解いていけばよいことになります。後で紹介する模擬試験を120分以内に解き切れるよう練習しておくと本試験でも焦らずに回答できると思います。

その他の試験の詳細な内容については下記URLから各試験の情報をご確認ください。

認定資格 | Google Cloud

Associate Cloud Engineerの勉強方法

次に、 Associate Cloud Engineer試験合格のために私が実際に行った勉強方法をご紹介します。試験勉強を行った期間は約1か月で、その間に以下3つの方法を用いて勉強しました。

参考書学習

Google Cloudの概要や主要なサービスを理解するため、参考書学習を行いました。

試験学習に用いる参考書には、「徹底攻略 Google Cloud認定資格 Associate Cloud Engineer教科書」を選択しました。

試験範囲の主要な Google Cloudの各サービスの概要やユースケースなどが記載されており、一から Google Cloudを理解するのに適しています。全8章の構成でコンピューティングやデータベースなど分野ごとに分けられています。

Google Cloudには、分野ごとに複数のサービスがあり、例えばコンピューティングサービスには以下のようなサービスがあります。これらの特徴を理解し、用途に応じて最適なサービスを選択する必要があります。

 ・Compute Engine 

 ・Google Kubernetes Engine 

 ・Cloud Run 

 ・App Engine 

 ・Cloud Functions 

本書ではこれらの各サービスの特徴や違い、ユースケースなどが表や図を用いて分かりやすく解説されています。用途ごとにどのサービスが一番適しているかが理解しやすい内容となっており、試験対策だけでなく、実務にも役立つ一冊だと感じました。

各章の章末には10問ほどの演習問題がついており、内容の復習や理解度チェックをしながら勉強することができます。また、1回分の模擬試験と解説もついており、問題演習も可能なため、参考書学習には本書をおすすめします。

私は本書を1日1章のペースで読み進め、試験勉強の最初の1週間はGoogle Cloudの概要と各サービスの理解にあてました。

問題演習

参考書学習でGoogle Cloudの概要とサービスがある程度理解できたら、残りの期間はひたすら問題演習に取り組みました。問題演習では、様々な内容や問い方の問題に対応できるようにするため複数の問題集を利用しました。

Udemy問題集

Udemy が提供する 「【Google 認定資格 】 Google Cloud Associate Cloud Engineer 模擬問題集」をメインの問題集として利用しました。

40問×3セットの練習問題と50問×2セットの模擬試験があり、練習問題は各サービスの特徴や正しいコマンドを選択する問題などがメインで、参考書で学習した内容の定着に向いています。また、参考書には記載されていない試験範囲のサービスについての問題も含まれています。模擬試験は本試験レベルの問題が練習できます。練習問題、模擬試験ともに1問ごとに解説がついているので復習もしやすいと感じました。また、ほとんどの問題の解説に公式ドキュメントのリンクが記載されているため、解説だけでは理解できなかった部分の学習にも適しています。

Web問題集

「Google Cloud 認定資格 無料WEB問題集&徹底解説」という無料のWeb問題集も今回の試験学習で利用しました。Associate Cloud Engineer試験に関する全104問の問題を無料で解くことができます。(2024/3時点)

簡単な基礎の復習問題から本試験と同等レベルの難易度のものまで幅広い問題を演習することができます。問題ごとに解説もついていますし、スマートフォンからも利用しやすいため移動時間やちょっとした空き時間の学習にもおすすめです。

参考書付録の模擬試験

先ほど紹介した参考書「徹底攻略 Google Cloud認定資格 Associate Cloud Engineer教科書」にも1回分の模擬試験がついています。内容はUdemyの模擬試験と同等の難易度だと感じたので試験対策として十分役に立つと思います。

公式模擬試験

公式サイトからも模擬試験を受けることができます。こちらは全20問と問題数は多くありませんが、公式なので本試験のシミュレーションには最も適していると言えます。どれくらいの難易度の問題が出るのか、どういう内容、問い方なのかという傾向を掴むことができました。

公式ドキュメント

問題集で躓いた部分の学習にGoogle Cloudの公式ドキュメントを利用しました。

先ほど紹介した参考書では解説されていないGoogle CloudのサービスもAssociate Cloud Engineerの試験範囲には含まれているため、その内容理解にも利用しました。

また、クラウドサービスだけではなくIT全般で情報の更新が激しく、参考書の情報はどうしても古くなってしまいがちです。試験では最新の情報をもとに問題が作成されるため、公式のドキュメントなどで最新の情報をインプットしておくことも必要でしょう。

以上が私が実際に行ったAssociate Cloud Engineerの勉強方法です。この方法で勉強した中で私が特に効果的だったと感じたのは複数の教材を利用した問題演習です。複数の教材を利用することで、様々な問い方や問題の種類に対応できる学習ができたと感じています。また、広範囲の試験内容も網羅的に勉強できたのではないかと感じています。

今回はハンズオン学習は行いませんでしたが、各サービスのイメージがしづらい場合や実際に手を動かした方が覚えやすいという場合には無料利用枠などを利用してハンズオン学習を行うと良いでしょう。

Associate Cloud Engineer試験の難易度

上記の勉強方法で試験勉強を行い、無事Associate Cloud Engineer試験に合格することができました。

実際に試験を受けた感想としては、試験問題は想像していたよりも難しくありませんでした。 Google Cloud認定資格では試験の正答率を公開していないため、どれだけ正解できたかは分かりませんがほとんどの問題は理解できたと感じています。

試験問題の内容に関しては、問題集で演習したものと似たような内容が多かった印象です。具体的には、オンプレミスからクラウドへの移行の際にどういった手順でどの Google Cloud サービスに移行するべきか、実装したい機能に対して選択すべきGoogle Cloudのサービスはどれかなどを問う問題が多かったように感じました。状況や用途に応じて最適なサービスを選択することは実務でも重要なポイントとなってくるので重点的に学習しておくことで試験と実務どちらにも活かせると思います。

また、コンソールの操作やCLIのコマンドで正しいものを選択する問題もいくつか出題されたので、そのあたりも学習しておくと万全の対策ができるかと思います。

試験時間は2時間ありますが、一通り問題を解き終わった後再度確認の時間を入れても30分ほど余りました。問題文や選択肢の文章が比較的短めなので、一問一問にかなり時間をかけられると思います。

試験と試験勉強を通して、Google Cloudの各サービスの特徴やユースケースを理解できたと思います。また、クラウドリフト(オンプレミスからクラウド上へシステムを移行)する際にどういう視点でクラウド上のサービスを選定しなければならないかなどの考え方についても身についたと感じています。多くのことを身につけられるいい機会になったのでAssociate Cloud Engineer試験を受けて良かったと感じています。

まとめ

今回は、Google Cloudとは何かというところから、 Google Cloudの資格一覧と各資格の難易度、Associate Cloud Engineer試験の学習方法と試験を受けた感想を紹介しました。

Google Cloudは三大クラウドサービスの一つで、AIや機械学習、データ分析などで他のクラウドサービスよりも優れています。AI技術やデータ活用はトレンドの技術でもあるので今後Google Cloudを利用する機会も増えるかもしれません。

そういった意味でもGoogle Cloud認定資格は非常におすすめのIT資格です。

今回メインで紹介したAssociate Cloud EngineerはGoogle Cloudを活用した設計、構築、運用のスキルがあることを証明できる資格です。6か月以上のGoogle Cloudの実務経験がある人への受験を推奨しており、中級程度の難易度ではありますが、しっかり試験勉強をすれば取得は難しくないと感じました。試験勉強の進め方としては、参考書でGoogle Cloudの各サービスの概要とユースケースを理解した後、複数の問題集を使って問題演習を行うことで知識の定着とあらゆる問題への対応ができるようになるのでおすすめです。

Associate Cloud EngineerをはじめとするGoogle Cloud認定資格の取得を目指している一人でも多くの人に今回紹介した教材や勉強方法が参考になれば幸いです。