現代社会のデジタル化進展に伴い、パブリッククラウドは以前にも増してその重要性を高めています。

IoTデバイスから個人のスマートフォン、企業のサーバーシステムまで、あらゆるものがクラウド化され、データは物理的な場所から離れてストレージされ、どこからでもアクセス可能となっています。

パブリッククラウドとは、ハードウェア、ソフトウェア、その他のインフラストラクチャーをユーザーに提供するサービスのことで、これらはインターネットを通じて利用者に提供されます。企業は、自前の物理的なデータセンターを運用するのではなく、パブリッククラウドを利用することで、大量のデータを効率的に管理し、全世界からアクセスできるようにすることができます。しかし、その一方で、パブリッククラウドサービスはその提供者やプランによって、価格、セキュリティ、サービスレベルなどさまざまな点で差があります。

そのため選び方一つで、ビジネスの成績に大きな違いをもたらす可能性もあります。 そこで、本記事ではパブリッククラウドのメリットとデメリットを理解し、どのように自社に適したクラウドサービスを選択するのか、具体的な戦略とそのポイントを詳しく解説していきます。これにより、読者の皆さまがより科学的、かつ日々のビジネスに即した知識を身につけることができることでしょう。

パブリッククラウドとは何か

パブリッククラウドとは、インターネットを通じて一般に開放されたクラウドコンピューティング環境のことを指します。

このサービスは、クラウドサービスプロバイダーがサーバーやストレージなどのリソースを運用し、ユーザーにレンタルする形で提供されます。これにより、ユーザーは物理的なサーバーやストレージなどを所有・運用することなく、随時必要なリソースを増減できる柔軟性と、メンテナンスや管理の負担から解放されます。

パブリッククラウドの一番の特徴は、利用者にとって必要なリソースを必要な時間だけ使い、その使用量に応じて料金が発生するという「ペイ・アズ・ユー・ゴー(使った分だけ払う)」という柔軟な料金設定です。つまり、大量の初期投資を必要とせずに、ビジネスを拡大・縮小することが可能となります。

パブリッククラウドの利点

パブリッククラウドは、今日のビジネス環境において多くの利点をもたらします。

  1. スケーラビリティ:ビジネスの需要が増減した際に、必要なリソースをリアルタイムに増減させることができます。これにより、需要が予想外に増えた場合でも、すぐに対応することが可能になります。
  2. コスト効率:パブリッククラウドは物理的なインフラを自社で保有、運用する必要がないため、初期投資や運用コストを大幅に削減できます。
  3. 最新のテクノロジーへのアクセス:常に最新のテクノロジーを提供するクラウドサービスプロバイダーによって、企業は新しいテクノロジーを速やかに取り入れることが可能になります。
  4. アクセシビリティ:インターネットさえあれば、地理的な位置に関わらずアクセスできます。このため、リモートワークや分散型チームにとっては非常に有効です。

これらの利点は、企業が急速に変わるビジネス環境に適応するための強力なツールだと言えるでしょう。

パブリッククラウドを選ぶ上での要素

パブリッククラウドを選ぶ時には、以下のような要素を考慮する必要があります。

ビジネス目標とニーズ

最初に、どのような目標を達成したいのか、どのようなビジネスニーズがあるのかを明確にすることが重要です。例えば、コスト削減が目標ならば、料金体系が明確で低価格のプロバイダーを選定するといった具体的な選択が可能になります。

セキュリティ

サービスにどのようなセキュリティ機能が組み込まれているか、または追加できるかをよく調べることも重要です。データ漏えいやハッキングから自社のデータを守るために、強固なセキュリティ体制を持つプロバイダーが求められます。

費用

パブリッククラウドは通常、使用した分だけ料金が発生します。しかしその費用もプロバイダーによって異なるため、自社の予算内で最もコスト効率の良いサービスを提供するプロバイダーを選ぶことが重要です。

パフォーマンス

サービスのパフォーマンスも大きな要素です。一部のプロバイダーは特定のタスクで優れたパフォーマンスを発揮しますが、それがあなたのビジネスに合致するかどうかを考える必要があります。

テクニカルサポート

トラブルが起きたときには、迅速かつ適切なサポートが提供されることが必須です。サポートに対する評判やレビューをチェックするとともに、24時間対応しているかどうかも重要です。

データの主権

データの所有権とコントロールに関する問題も重要です。特にパブリッククラウドの場合、データは当然ながらプロバイダーのインフラ上に保管されます。このため、データはどのように保管・処理・利用され、また、必要に応じて自由に移動や削除ができるか、データソブリンティ(データの所有権とコントロール)の観点から評価することが重要となります。

以上の各々の観点からクラウドサービスを評価し、自社のビジネスに最適なサービスを選択することが求められます。

主要なパブリッククラウドサービスプロバイダー

パブリッククラウド市場には数多くのサービスプロバイダーが存在しますが、以下にその中から主要なプロバイダーとそれぞれの特性について触れてみたいと思います。

Amazon Web Services (AWS)

Amazon Web Services(AWS)は、パブリッククラウド市場のリーダーとして広く認知されています。豊富なサービスラインナップと続く革新により、AWSは多くの企業で信頼されています。

AWSは幅広い種類のクラウドサービスを提供しており、これらのサービスはコンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキング、開発者ツール、管理ツール、セキュリティとアイデンティティ関連、アナリティクス、アプリケーションサービス、導入と管理、モバイルとIoT、AIとなど、非常に広範にわたります。これらのサービスは頻繁に更新され、新しい機能が絶えず追加されるため、非常に進歩的なプロバイダーと言えます。

AWSはコンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーキング、開発者ツール、管理ツールといった基本的なクラウドサービスから、AIや機械学習、IoT(モノのインターネット)などの先端技術まで、多岐にわたるサービスを提供しています。

Microsoft Azure

Microsoft Azureは、その包括的なクラウドソリューションにより、企業のあらゆるニーズを満たすことができます。

AzureはMicrosoftの製品に非常に親和性があり、特にWindows OSやOfficeなどMicrosoftの製品をすでに利用している企業には適しています。

Azureも基本的なクラウドサービスを提供する一方で、Windows Virtual Desktopなどのユニークなサービスや、パワフルなAIと機械学習のツールも提供しています。

Google Cloud Platform (GCP)

Google Cloud Platform(GCP)は、Googleが提供するインフラストラクチャーによって支えられ、優れたスケーラビリティとパフォーマンスを提供します。

特に、データ分析と機械学習に焦点を当てたり、Google SearchやYouTubeなどのGoogleのクラウド上のサービスに直結していたりする点で他のプロバイダーと差別化しています。

GCPではBigQueryと呼ばれる高パフォーマンスの分析データウェアハウスや、TensorFlowを活用した機械学習サービスなど、データ処理とAIにフォーカスしたサービスが特徴的です。

以下に各サービスプロバイダーの主要サービスの比較をご紹介します。基本的にどのサービスプロバイダーでも、基本的な機能は押さえています。

カテゴリAWSMicrosoft AzureGoogle Cloud Platform
コンピューティングサービスEC2 – 幅広く成熟したサービスAzure VM – Windows環境に最適化Compute Engine – 大規模データベースや分析作業に強い
ストレージサービスS3 – 高い耐久性と利便性Azure Blob Storage – 非構造化データ向け, 自動暗号化Google Cloud Storage – 永続的ストレージ・バックアップ, 高い耐久性とスケーラビリティ
データベースサービスRDS, DynamoDB, ElastiCache, Neptune etc. – 多様なデータベースサービスSQL Database, Cosmos DB – 直感的で手頃なサービスCloud SQL, Cloud Bigtable – Bigtableは高性能なNoSQLデータベース
AI & 機械学習SageMakerなど – 広範な機械学習サービスCognitive Services – ビジネスアプリケーション統合が可能AutoMLなど – 業界リーディングのAI & 機械学習サービス
開発者ツールAWS CodeStar, AWS Cloud9など – 豊富な開発者向けツールAzure DevOps, Azure Pipelinesなど – ツールとサービスの集合体Cloud SDK, Google Cloud Shellなど – Googleエコシステム統合ツール

これらのクラウドサービスプロバイダーは、それぞれ異なる特性を持ち、提供するサービス内容もそれぞれ異なります。そのためユーザー企業は、自身のビジネス目標や技術的な要件に基づき、それぞれのプロバイダーが提供するサービスを比較検討し、最適なプロバイダーを選択することが求められます。

具体的なパブリッククラウドの選び方

クラウドサービスを選ぶ際は、以下の要素を考慮する必要があります。

ビジネスと技術の要求

ビジネスの目標と技術的な要求を明確に定義します。これには、ビジネスの成長計画、必要な技術スタック、ネットワーキング要件、セキュリティ要件などが含まれます。例えば、あるスタートアップがAIを重要な競争要素と考えている場合、AIと機械学習のサービスが充実しているGoogle Cloud Platformが最適かもしれません。

コスト

使用シーンに応じた費用効果を考慮します。 これは、ストレージ、データ転送、プロセッシングといった異なるサービスの価格だけでなく、個々のプロバイダーの料金体系も含みます。特別な割引、長期利用の場合の料金削減、予約インスタンスなども調査します。 例えばMicrosoftの既存ユーザーは、Azureを選ぶことによりエンタープライズ契約に基づく特別な料金割引を受けられる可能性があります。

マルチクラウドの戦略

ビジネスの規模やニーズによっては、複数のクラウドプロバイダーを利用することでリスクを分散させ、最善のサービスを各々のプロバイダーから得ることができます。例えば、クリティカルなアプリケーションはAWSの耐久性が高いストレージサービスに、データ分析はGCPのBigQueryにそれぞれデプロイするなどです。

データセンターのロケーション

データセンターの位置は、法規制やパフォーマンスに直接影響を与えます。プロバイダーは全世界にデータセンターを展開していますが、使用するデータセンターがビジネスや顧客のロケーションに近い方が、レイテンシが低減されパフォーマンスが向上します。

最終的に、これらの要素を総合的に考慮して、ビジネスに最適なクラウドサービスプロバイダーを選びます。エンタープライズレベルの公開クラウドサービスプロバイダー者は全て高品質なサービスを提供していますが、個々のビジネス、技術、および経済的要件に最適なプロバイダーは異なります。

パブリッククラウドの選択の重要性とその影響

パブリッククラウドは、現代ビジネスにとって必須のインフラストラクチャーであり、その選択は極めて重要です。

選定されたクラウドサービスプロバイダーは、ビジネスの能力、効率性、そして競争力に直接影響を与えます。 まず、ビジネスの能力についてですが、選択したクラウドプラットフォームは、組織が開発できるアプリケーションの種類、操作できるデータ量、取り組むことができる技術的な挑戦を規定します。

例えば、AIやデータ分析が強化されたクラウドサービスを採用すれば、それらの領域での成果を見込むことが可能になります。 次に、効率性ですが、適切なクラウドサービスは、コストを削減し、柔軟性を高め、ビジネスのスピードを向上させます。

特にスタートアップの場合、初期費用を抑えながら迅速にスケーリングすることが可能になり、ビジネス成長を後押しします。 最後に、競争力ですが、適切なパブリッククラウドの選択は、競争優位性の確保にもつながります。

クラウドサービスによって提供される最新の技術を利用することで、ビジネスは市場の変化に迅速に対応し、競争に勝つことができます。 パブリッククラウドの選択は単なる技術的な決定事項以上のものです。それはビジネス戦略上の大切な決断であり、ビジネスの未来に直接影響を与えます。したがって、各組織は自身の特定のニーズに最適なパブリッククラウドを慎重に選ぶべきです。

この選択は、クラウドコンピューティングの真の力を引き出し、組織全体にとっての価値を最大化します。

次は何をすべきか

ここまでパブリッククラウドの選択について説明してきました。次は実際に調査や選定といったプロセスに進んでいきます。では、どのように進めていけばいいのでしょうか?

パブリッククラウドサービス比較チャートのダウンロード

まずは、パブリッククラウドサービスの特徴とコスト比較チャートをダウンロードし、一覧性を持って比較してみましょう。各プロバイダーが提供するサービスの違いや、それぞれの料金体系を理解することは非常に重要です。

クラウドコンサルタントとの相談

ビジネスのニーズと要件に基づいたパブリッククラウドの選択を支援するために、コンサルタントやSIerとの相談を設定してみてください。彼らはあなたのビジネスニーズを理解し、最適なクラウドソリューションを提案してくれるでしょう。

パイロットプロジェクトの設定

選択したクラウドサービスプロバイダーとの適合性を評価するには、小規模なプロジェクトを立ち上げて試しに使ってみることをお勧めします。各サービスプロバイダーの無料枠を利用して評価してみる、開発環境の一部のみクラウド上に移行してみるなどです。これにより、実際のビジネス環境でのパフォーマンスをリアルタイムで評価することが可能になります。

まとめ

パブリッククラウドは現代ビジネスにとって無くてはならないインフラストラクチャーです。その選定は、ビジネスの能力、効率性、および競争力に大きな影響を及ぼします。

具体的な選定基準としては、ビジネスと技術の要求、コスト、マルチクラウド戦略、ロケーションなどを検討します。そして、この選択はビジネスの未来を形作る重要な決断となります。最適なパブリッククラウドを選ぶことで、クラウドコンピューティングの本当の力を引き出し、ビジネス価値を最大化することが可能となるでしょう。

皆さんのビジネスにとって最適なクラウドサービスプロバイダーの選択を支援することができれば幸いです。