昨今、IT技術の進歩はめざましく、私たちの生活やビジネスに大きな影響を与えています。その一方で、IT人材の不足が大きな問題になっています。IT人材の不足は、企業の生産性低下や競争力低下を招くだけでなく、日本の経済成長にも悪影響を及ぼします。この問題を解消する手段として、IT研修の活用を検討する企業が増えつつあります。
本記事では、IT研修の導入メリットや内容の選び方について解説します。IT研修に関心のある方はぜひ参考にしてみてください。
目次
IT研修とは?
IT研修は、社員への研修の中でもIT関連のスキルや知識を学ぶために実施されるものを指します。IT研修の内容はさまざまで、非エンジニア向けにコンピュータの操作やOfficeソフトの操作を指導するものもあれば、エンジニア向けにプログラミングやインフラ技術を指導するものもあります。コンプライアンス遵守のために、ITリテラシーやセキュリティを扱うIT研修も少なくはありません。
IT企業に限らず多くの企業が業務の中にITを取り入れている状況から、社員のITスキル向上には多くのメリットがあります。しかし、ITスキルは種類が多く、自社内で全てのIT研修を実施するのは難しいでしょう。社員によってスキルレベルや適性も異なるため、各自に最適なIT研修を実施するにはコストがかかります。IT研修を実施する際は、研修サービスを専門的に提供している外部企業に依頼するのがおすすめです。
IT研修を実施するメリット
IT研修の実施には多くのメリットがあります。社員のITスキルが向上することによって、以下のようなメリットが期待できるでしょう。
業務効率の向上
IT研修の実施により、社員の業務効率向上が期待できます。多くの企業でIT関連の技術が導入されていますが、使いこなせる社員とそうでない社員との間には業務効率に差があります。そうした差を解消し、業務を対応する上で十分なITスキルを身につけられるのが、IT研修のメリットです。
例えば、非エンジニア向けの代表的なIT研修として、Office系ソフトの操作に関するものがあります。Office系ソフトを扱うスキルは、今や事務的な業務に欠かせません。スキルを習得できれば、事務処理の効率が大きく向上するでしょう。エンジニア向けのIT研修によっても業務効率の向上が期待できます。マネジメントに関する研修によってプロジェクト全体の効率的な管理ができるようになったり、ドキュメント作成に関する研修によって効率的なマニュアル管理ができるようになる事が期待されます。
スキル習得
IT研修によって、社員の効率的なスキル習得をサポートできます。新しいITスキルの習得にはコストがかかります。個人の独学に任せるのも良いですが、人によっては学習方法が分からなかったり、業務外の時間に勉強するためモチベーションが上がらなかったりすることも多いでしょう。IT研修としてまとまった時間をとり、専任の講師による指導を受けさせることで、独学よりも効率的なスキルアップが期待できます。
セキュリティ意識向上
IT研修の中には、セキュリティに特化したものもあります。非エンジニアからエンジニアまで、従業員全員がセキュリティに関する最低限の知識を身につけておかなければなりません。従業員の人的ミスによるセキュリティインシデントは後を絶ちません。一度セキュリティインシデントが起こってしまうと、調査や復旧、賠償のために多額の費用が発生するだけでなく、企業としての信頼も失ってしまいます。その後の取引や業績にも大きく関わるため、従業員へのセキュリティ教育の徹底が求められます。
IT研修の種類・内容
IT研修の種類と内容は多岐に渡ります。ここでは、非エンジニア向けのIT研修とエンジニア向けのIT研修それぞれについて、代表的な種類と内容を解説します。
非エンジニア向けIT研修
非エンジニア向けには、以下のようなIT研修が実施されるのが一般的です。
- PCの基本的な操作
- Office系ソフトの操作
- ITリテラシー
- セキュリティ
新入社員や、ITスキルが全くない社員へのIT研修として、PCの基本的な操作やWord、ExcelなどのOffice系ソフトに関する研修、基本的なITリテラシーに関する研修が実施されることもあります。社員に求めるITスキルのレベルに応じて内容は変わりますが、業務遂行に最低限必要なスキルの習得が目標となります。
セキュリティに関する研修は全社員に実施されるのが一般的です。程度や内容は企業にもよりますが、社会人として理解しておくべき最低限のセキュリティ知識の習得が目標となります。
エンジニア向けIT研修
エンジニア向けには、以下のようなIT研修が実施されるのが一般的です。
- 各種プログラミング言語
- インフラ技術(サーバー、ネットワーク、クラウドなど)
- プロジェクトマネジメント
- システムアーキテクト
- セキュリティ技術
- データ分析・AI
エンジニア向けのIT研修は、スキルアップを図るために実施されます。各種プログラミング言語に関する研修が代表的で、基礎的な文法から実際のアプリケーション開発まで体験できる研修が提供されています。
インフラ技術に関しては、ハンズオンで環境構築を学べる研修が多く、特にクラウドをはじめとする最新技術がトレンドとなっています。プログラマーとして経験を積んだエンジニアがさらにスキルアップ・キャリアアップを図るために、システムアーキテクトやプロジェクトマネジメントについて学ぶことも珍しくありません。専門的なセキュリティ技術の研修や、近年話題になっているデータサイエンス・AI分野の研修も増えつつあります。
IT人材の不足が指摘されている中で、戦力となるエンジニアの育成は欠かせません。IT研修を通じて優秀なエンジニアを育成し、最新の技術にも対応できるような体制を整えていく必要があります。
IT研修の選び方
IT研修は多くのベンダーが提供しているため、実際にどのような研修を選ぶのが適切なのか、分からない方も多いでしょう。IT研修を選ぶ際は、以下のポイントに注目してみてください。
IT研修内容
IT研修の内容は必ずチェックしておきましょう。目標としているスキルが実際に学べるかどうか、スキルレベルは社員に合っているかどうか、座学だけでなくハンズオンのトレーニングも実施されるかどうかなど、社員に最適なIT研修となるようにチェックしておく必要があります。
もちろん、社員によってスキルレベルは異なるため、各自にIT研修の内容をチェックしてもらうことも大切です。各自が無理なく効果的にスキルアップできるよう、内容を元にIT研修を選ぶことが第一に求められます。
IT研修スタイル
IT研修のスタイルも重要なポイントの1つです。ベンダーの公開講座を受講するタイプや、講師を派遣してもらい自社内で研修を実施するタイプ、オンラインによる研修やeラーニングなど、さまざまなスタイルがあります。
内容や社員の希望にもよりますが、基本的にはオンライン、eラーニングによるIT研修がおすすめです。時間や場所の都合をつけやすく、各自が空いている時間に研修を受けられたり、PCを使ったハンズオンのトレーニングがしやすいというメリットがあります。オンラインの研修であればその場で質問もできるので、研修の質も確保できるでしょう。
- オンライン研修・eラーニング:一人1台PCで受講
- 公開講座:研修会社が提供する講座に出向く公開講座
- 派遣型講座:外部講師を自社に呼ぶ派遣型講座
予算・スケジュール
予算やスケジュールも考慮してIT研修を選択しましょう。
IT研修によって費用はさまざまですが、高額なものになると数十万円に達することも珍しくありません。特に、講師を直接派遣してもらうタイプは高額になりやすく、反対にオンラインで実施されるタイプは安価になる傾向にあります。研修のレベルが高くなるほど費用も高額になりがちです。ITの基礎に関するIT研修よりも、実際に環境構築やアプリケーション開発を実施するIT研修や、最新技術を用いたIT研修の方が高額になります。
IT研修の目標を事前に設定しておかないと、不要なコストが発生してしまう恐れもあります。費用とスケジュール感について、事前に社内で検討を重ねておきましょう。
IT研修の評判
事前にIT研修の評判をチェックしておきましょう。
実際に受講してみてから、「講師のスキルレベルが低い」「解説が分かりにくい」といった感想を受講者が持つようでは、効果的なIT研修にはつながりません。コストやスケジュール感ももちろん大切ですが、実際にIT研修を受けた人の声をできるだけ収集し、評判の良いものを選択することをおすすめします。
IT研修実施時の注意点
IT研修は、ただ実施するだけで従業員のスキルレベルを上げられる、というものではありません。従業員が効果的にスキルアップできるよう、企業としてサポートする必要があります。ここでは、IT研修をより効果的に実施するための注意点を2つ紹介します。
受講者とカリキュラムのレベル感を合わせる
IT研修を実施する際は、受講者とカリキュラムのレベル感を合わせるようにしてください。受講者のスキルレベルに合っていないIT研修を実施しても、スキルアップにはつながりません。たとえば、インフラの基礎的な知識が身についていないエンジニアが最新のクラウド技術を用いた環境構築の研修を受講しても、研修についていけず、学んだことを業務に活かせないでしょう。初心者向けに基礎的な事柄から解説してくれる講座や、講師への質問がすぐにできるオンラインのIT研修を選ぶなど、レベル感に注意してください。
IT研修後のフォロー体制を確立する
IT研修後のフォロー体制の確立も大切なポイントです。IT研修を実施してもその場限りで終わってしまうケースや、IT研修の成果について受講者が不安に感じているケースも珍しくありません。IT研修を活かし、さらにスキルアップしてもらえるようなフォロー体制が必要です。社員へのヒアリングや振り返りはもちろん、別のIT研修の受講案内や、学んだスキルを活かせる案件へのアサインなど、フォローを忘れずに行いましょう。
まとめ
本記事では、企業が実施すべきIT研修について解説しました。IT研修を効果的に実施できれば、業務効率や生産性の向上、従業員のスキルアップやセキュリティ意識の向上といったメリットが期待できます。IT研修と一口に言っても種類はさまざまで、従業員のレベルや目標に合わせて選択する必要があります。内容やスタイル、予算やスケジュール感に注意し、事前に評判もチェックしておきましょう。
なお、社内にIT人材育成のノウハウが不足している場合、日常業務と両立可能な外部の専門講師によるオンライン研修をおすすめします。IT人材育成を考えている人事担当者は、オンライン研修サービス「BFT道場チョイトレ」を用いた研修の検討を検討してみてはいかがでしょうか。
BFT道場チョイトレとは?
「BFT道場チョイトレ」は、多忙な現場で活躍するエンジニアたちに広く利用されているIT研修サービスです。定額制・受け放題の体系により、限られた予算の中でも多数の社員に学習の機会を提供することができます。また、受講者はご自身のスキル向上プランに合わせてコースを選ぶことが可能です。
BFT道場チョイトレの特長
業務都合に合わせて講義を選択できる
チョイトレは1回3時間の研修を受講者のスケジュールに合わせて自由に選択できます。3ヶ月先までの開催スケジュールをカレンダー形式で見ることができるため、ご自身の業務都合を考慮したうえで受講スケジュールを調整できます。
3営業日前まで予約ができる
チョイトレは予約専用サイトから3営業日前まで受講予約が可能です。そのため、忙しく日々予定が変化しやすい現場のエンジニアの方も、少しの時間を有効活用し、スキルアッププランを実現できます。詳しくは以下をご確認ください。