はじめに

本記事は「iU×BFT共同プロジェクト」にてiU 情報経営イノベーション専門職大学の学生の方にBFT道場のIT研修を受講した際のレポートをUsers Digital 編集部にて編集し、公開したものです。

iU 情報経営イノベーション専門職大学は、情報技術と経営戦略を統合することで、イノベーションを創出する人材を育成する大学です。情報システム、データサイエンス、ビジネスアナリティクスなどの専門知識と、経営戦略、マーケティング、リーダーシップなどの実践的なスキルを学びます。また、産学連携やインターンシップなどのプログラムを通じて、実社会での課題解決能力を養います。今回は産学連携の一環で、同大学の阿部川 久広教授、山内 正人講師にご協力をいただき実現した企画です。

本来であればIT企業に勤務されている方や、情報システム部門の方向けのIT研修ではあるのですが、現役の大学生が受講して、難易度やIT研修の内容などにどのような印象を持ったのか、リアルな声や感想をお届けします。

今回は、「今更聞けない インフラシステム概要理解」を受講いただき、そのレポートを執筆いただきました。

BFT道場 – インフラシステム概要理解

インフラシステム概要理解の概要と目的

本講座では、ITインフラに関する基本的な知識習得、ITインフラの構成や技術要素の目的、メリット・デメリットの把握を目標としていました。

一般的にITインフラとは、情報技術を支えるインフラストラクチャーのことで、ネットワーク、サーバー、ストレージ、セキュリティなどの要素から構成されます。本講座ではITインフラに関する基本的な用語や仕組みについて学ぶことができ、また、代表的なシステムであるWeb3層システムをベースに、ITインフラに関わる知識や考え方も学びました。

インフラシステム概要理解の研修の内容

本講座は、受講形態はオンラインで実施され、ITインフラの全体像を把握するために、サーバーと周辺装置、ネットワーク、仮想化とクラウド、システム運用、セキュリティの各分野について基本的な知識を学習しました。

各分野についてはサーバーの概要や種類、サーバーとOSの関係性、ミドルウェアの役割や機能、周辺装置の種類や接続方法。ネットワークでは、ネットワークの構成要素や通信方式、IPアドレスやルーティングなどの基礎的な概念。仮想化とクラウドでは、仮想化のメリットや種類、クラウドの特徴やサービスモデルなど。システム運用では、システムの運用管理のプロセス、バックアップや障害対応などの運用技術。セキュリティでは、セキュリティの重要性や脅威の種類、それぞれの対策など。最後には、参考程度にシステムを作り上げるまでの開発手法について学習しました。

ITインフラの全体像について

このセクションでは、インフラストラクチャーという概念について、受講者に理解してもらうことを目的としていました。

インフラストラクチャーとは、社会や経済の基盤となる施設やシステムのことです。インフラストラクチャーには、道路、鉄道、港湾、電気、水道、通信などの物理的なものだけでなく、学校、病院、公園などの公共サービスや法律、制度などの規範的なものも含まれます。

ITシステムにおけるインフラとは、そのシステムが機能するために必要な基本的な要素やサービスを指します。例えば、ITシステムにおけるインフラとは、コンピューター、サーバー、ネットワーク、ソフトウェアなどのコンポーネントや施設のことだと講師の方が丁寧に説明をしていました。

サーバーと周辺装置について

このセクションでは、サーバーとは何か、サーバーの役割と部品構成などについて理解することを目的としていました。

まず、サーバーとは、ネットワーク上で他のコンピューターに対してサービスを提供するコンピューターのことです。その中でも、物理サーバーは、一般的なパソコンと同じように、演算、制御、記憶、入力、出力という五大装置で構成されています。主な部品としては、マザーボード、CPU、メモリ、ドライブ(HDDやSSD)、光学ドライブなどがあります。

他にサーバーを構成する要素として、OS、ミドルウェア、周辺装置などがあることを学びました。

OSとは、オペレーティングシステム(Operating System)の略で、コンピューターの基本的な動作を管理するソフトウェアです。OSは、ハードウェアとミドルウェアの間にあって、入出力やメモリ管理、ファイル操作などを行います。OSには、WindowsやLinuxなどの種類があります。

ミドルウェアとは、OSとアプリケーションの間にあって、特定の機能やサービスを提供するソフトウェアです。ミドルウェアには、データベースやWebサーバーなどの種類があります。データベースはデータの保存や検索を行うミドルウェアで、WebサーバーはWebページの配信や処理を行うミドルウェアです。

周辺装置とは、コンピューター本体以外の機器で、入出力や拡張などを行うものです。周辺装置には、ストレージ装置やテープ装置などがあります。ストレージ装置はデータを保存する装置で、HDDやSSDなどがあります。テープ装置はデータをテープに保存する装置で、バックアップやアーカイブに使われます。

ネットワークについて

このセクションでは、ネットワークとは何か、どのように構成されているのか、通信はどのように行っているのか、そのために必要な機器について学ぶことを目的としていました。

ネットワークとは、コンピューターや機器を通信回線で接続して情報をやりとりする仕組みのことです。ネットワークには、広い範囲のネットワークであるWAN(Wide Area Network)と、狭い範囲のネットワークであるLAN(Local Area Network)があります。

WANとLANは、それぞれ異なるIPアドレスやネットワーク機器を使用して構成され、通信には、TCP/IPというプロトコルが使われます。TCP/IPとは、インターネットでデータをやりとりするためのルールの集まりです。TCP/IPには、データの送受信を行うTCP(Transmission Control Protocol)と、データの経路を決めるIP(Internet Protocol)などの種類があるというネットワークの基礎の部分を学びました。

ネットワーク装置とは、ネットワークを構築するために必要な機器のことです。例えば、ルーターは異なるネットワーク間を接続する装置で他にもスイッチ、ファイアウォール、ロードバランサーなどの機器があります。

仮想化とクラウドについて

このセクションでは、仮想化とは何か、クラウドとは何か、それぞれの特徴と向き不向き、どのように利用されているのかを理解することを目的としていました。

仮想化とは、IT資源と言われるサーバー、ストレージ、ネットワーク、アプリケーションなどのハードウェアリソースを、ソフトウェアを用いて統合・分割する技術です。仮想化によって、IT資源を効率的に使用できるようになります。例えば、サーバーの仮想化では、1台の物理サーバーを複数の仮想サーバーに分割して、用途の異なるサーバーを同時に稼働させることができます。これにより、ハードウェアのコストや運用工数を削減したり、可用性や拡張性を高めたりできます。

クラウドとは、インターネットを通じてIT資源をサービスとして提供する仕組みです。クラウドには、主に以下の3種類があります。

  • IaaS(Infrastructure as a Service):仮想化されたサーバーやストレージなどのインフラストラクチャーを提供するサービス
  • PaaS(Platform as a Service):アプリケーション開発や実行に必要なプラットフォームを提供するサービス
  • SaaS(Software as a Service):メールやオフィスソフトなどのアプリケーションを提供するサービス

クラウドの特徴は、オンデマンドに必要な分だけIT資源を利用できる柔軟性や、自身でIT資源を管理する必要がない利便性です。クラウドは仮想化技術に基づいて構築されており、仮想化されたIT資源をインターネット経由で利用できます。

システム運用について

このセクションでは、普段あまり意識されないシステム運用とは何か、どのような役割があるのか、どのように運用するのかを理解することを目的としていました。

システム運用とは、開発・リリースされたシステムを継続的に安定して稼働させるため、管理・監視を行うことです。運用ミドルウェアを利用して、定常的な作業や障害対応といった、日々のシステム運用を行います。

運用ミドルウェアとは、システム運用に必要な機能を提供するソフトウェアのことです。運用ミドルウェアには、バックアップ、ジョブ運用、監視などの種類があります。バックアップとは、システムのデータや設定を定期的に別の場所に保存することで、障害や災害などでデータが失われた場合に復旧できるようにすることです。ジョブ運用とは、システムで行う定期的な処理や作業を自動化し、効率的に管理することです。監視とは、システムの稼働状況や性能を常にチェックし、異常や問題が発生した場合に通知や対処を行うことです。

セキュリティについて

このセクションでは、セキュリティとは何か、どのような脅威があるのか、どのように対策するのかを理解することを目的としていました。

アクセス・利用制限、データの秘匿、不正追跡・監視、ネットワーク対策、マルウェア対策、Web対策といったセキュリティ対策について、それぞれの目的、どのような手法があるかを講師の方が解説していました。

これらの要素を学ぶことで、ITインフラに関する基礎知識を習得できました。また、実際にシステムを作る流れを学ぶことで、理論だけでなく実践的なスキルも身に付けることができました。将来的にIT業界で働くためには、このような基礎的な知識を習得することが必要不可欠だと感じました。

レベル感

最初にIT研修と聞いたとき、ついていけないのではないかという心配がありましたが、この研修では私のような初心者からでも理解できるように、難易度と説明の仕方が工夫されていました。ITインフラは全体的に専門的で難しい分野と言われているため、初心者でも理解しやすいように内容が構成されていることは大きなメリットだと感じました。また、講師が分かりやすく説明してくださることにより、初めて聞く言葉でも問題なく理解できた点も素晴らしい内容だと思います。

この研修を通じて、初心者でも理解しやすいレベルでIT インフラに関する基礎知識を習得できることは、大変価値のあるものだと感じました。そのため、初心者にとっては最適なIT研修だと思いました。

おすすめしたいポイント

この研修のおすすめポイントは以下の4点です。

①講師の方の説明が非常に分かりやすい

3時間の講義なのでボリューム満点でしたが、講師の方の丁寧で且つ分かりやすい解説を通じて、IT インフラの用語やインフラ構成の仕組みの基礎を学習することができました。

②コンピューターの主要機能について触れながら、主記憶装置と補助記憶装置を比較して説明している

「サ一バと周辺装置」の説明の時に、コンピューターの主要機能の説明がありました。その際、主記憶装置と補助記憶装置を比較しながら説明されていたのは、各記憶装置への理解が深まり非常に良いと思いました。実は私は以前、一時的な記憶装置の「主記憶装置」より「補助記憶装置」の方が優秀ではないかという疑問を抱いたことがありましたが、今回の講師の方の説明によって、各記憶装置の機能や特性を正しく理解できました。

主記憶装置…CPUがデータやプログラムを記憶する記憶装置のうち、直接高速で情報の読み書きができる記憶装置のこと。主にメモリが該当する。
補助記憶装置…CPUが処理するためのプログラムや情報を保管しておく記憶装置のこと。主にハードディスクやSSD、CD-ROMなど。

③講義のテキストに図を交えて説明している

講座のテキストで図を交えて説明するのは、内容を理解するのに非常に役立つと感じました。図を見ながら講師の方の説明を聞くので、とても理解しやすかったです。

④難しいと感じる箇所は理解しやすいことに例えて説明している

通信イメージを説明いただいた際に、通信側から受信側までの複雑な過程を手紙の郵送に例えられていて、非常に理解しやすかったです。他にも比喩の表現でうまく説明してくださる点が多く、より理解が深まりました。

このように、講師の方の分かりやすい説明や比喩を用いた説明、図を交えた説明が、この研修のおすすめポイントとして挙げられます。特に、初心者にとってはITインフラの基礎を理解するのに役立つと感じました。

改善を期待したいポイント

「サーバーと周辺装置」について説明いただいた際、CPUの機能について「ただ、メモリのスペックばかりが高くても、CPUの制御するパワーもある程度高くないと、メモリを生かせない」と述べられました。しかし、初心者には、データの処理と制御・演算との関係を説明しなければピンとこないかもしれません。事実、私も講師の方の説明を理解するまで時間がかかりました。

CPUの制御機能や演算機能とメモリ機能の関係についても説明していただくと、制御の流れについての理解が深まると思われます。自身がパソコンなどを購入する際の参考にもなるかと思いますので、実生活でも役に立つ知識になると感じました。

全体の感想

このIT研修を通して、ITインフラの構成や技術要素について理解することで、ITシステムの構築や運用、問題解決において非常に役に立つと考えます。また、ITインフラに関する基本的な知識が身についていることで、新しい技術やサービスが開発された際にも素早く理解することができ、自身のIT業界での成長を促すことができると感じました。

私は現在、大学三年生で、ITインフラについて、大学で少し触れた程度の知識しか持っていなかったにもかかわらず、講師の方が分かりやすく説明してくださったため、初めて聞く言葉でも全て内容を理解できました。また、講師の方は研修の中で触れた概念をすべて分かりやすく説明していたので、たとえ IT に全く触れたことのない人にとってもほぼ理解できると思います。そのため、未経験からIT業界を目指す方や、大学の講義で情報処理に関する最初の講義としてもおすすめであると感じました。

まとめ

今回は、「iU×BFT共同プロジェクト」にてiU 情報経営イノベーション専門職大学の学生の方にBFT道場 – チョイトレのIT研修である、「今更聞けない インフラシステム概要理解」を受講いただきました。

最後の感想にもある通り、ご自身のITに関する知識やスキルは、大学の講義内で少し触れた程度の知識・スキルとのことでした。この状態で受講いただいた結果、内容や用語についても十分理解できたとのことです。 IT業界未経験の方や、インフラエンジニアとして学びたいという方にも最適なIT研修と言えますし、大学生が今後就職活動における強みを身につけるためのスキルアップ方法としても一つの手段となりうるかと思います。気になった方はぜひ、BFT道場のサイトからお問い合わせください。