ChatGPTなど、様々な人工知能(AI)が昨今話題になっています。
その中でもAIと関係が深く、話題にもなっているチャットボットの技術について、ご紹介します。

まず、AIチャットボットとは、人間と自然な会話ができる人工知能(AI)の一種です。AIチャットボットは、まだ登場して間もないですがさまざまな分野で活用されてはじめていることはご存じでしょうか?
例えば、カスタマーサービス、エンターテインメント、教育分野などでも利用されています。

その中でもChatGPTとBing AIは執筆現在、特に注目されているAIチャットボットです。では、それぞれの特徴や違いは何でしょうか?

ChatGPTについては以下の記事でご紹介しています。
ChatGPTとは? AIチャットボットとは? ~概要と始め方を紹介~

Bing AIとChatGPT チャットボットの種類

まず、チャットボットの技術は、大きく分けて二つのタイプに分類できます。
ひとつはルールベース型のチャットボットで、、あらかじめ決められたルールに従って応答を返すものです。シナリオ型とも呼ばれます。

そのため、あらかじめ用意された質問に対しては高い精度で回答できますが、柔軟性や応答性に欠けるという欠点があり、新しい質問に対しては対応できないことがあります。主にFAQなどに利用されているのをよく見かけます。

もうひとつはAI型のチャットボットで、事前に学習した大量のデータや、利用実績に基づく蓄積されたデータから学習して、AIが解析することにより会話をするタイプです。自然で流暢な会話ができる反面、意味や論理に矛盾したり、不適切な発言をしたりするという欠点もあります。今回ご紹介するBing AIはこのタイプにあたります。

Bing AIとは?

Bing AIの特徴

Bing AIとは、マイクロソフトが開発した人工知能(AI)チャットボットで、検索エンジンとチャット機能を統合したツールです。

Bing AIは、GPT-4という先進的な言語モデルを採用しており、これは人間の言語や文化を理解することができる技術です。これにより、Bing AIは、会話の目的や意図を把握しようとする能力が高く、情報提供やアシスタントなどの役割を果たすことができます。自然でスムーズな会話ができるだけでなく、さまざまなタスクをこなすことができます。たとえば、小論文の執筆、本の要約、コードの生成、一般的な知識に関する質問への回答などです。

また、Bing AIの大きな特徴として、マイクロソフト社の検索エンジンであるBingを用いて会話中に必要な情報をウェブ検索して回答できるため、最新かつ関連性の高い情報を提供し、情報源も明示するため、事実や知識に基づいた正確で信頼性の高い回答ができます。

その他にも、数学や物理学などの高度な分野にも対応できる能力を持っています。さらにはBing AIは、セキュリティ対策も万全で、不審なトピックに触れると会話を強制終了する仕組みを採用しています。このことから、Bing AIは、ChatGPTという別のAIチャットボットと比較しても、多くの点で優れていると言えますが、会話の文脈や相手の感情に対応することが苦手で、時には退屈や冷淡な印象を与えることもあります。

つまり、Bing AIは、検索とチャットの統一的な体験により、コンピューターとのやり取りの仕方を再構築するツールです。Bing AIは、ユーザーのニーズに応えるだけでなく、創造的で興味深いコンテンツを生み出すことができます。Bing AIは、人工知能の可能性を広げるツールであると言えるでしょう。

ChatGPTの特徴

ChatGPTとは、OpenAIが開発したGPT-3という強力な言語モデルを利用して開発されたAIチャットボットです。GPT-3は、インターネット上の大量のテキストデータを学習して、任意のテキストを生成する技術です。現在はGPT-3.5もしくはGPT-4が採用されており、後者は有料会員のみ使用することができます。

ChatGPTは、GPT-3をAIチャットボットに特化させたもので、人間らしい会話ができるだけでなく、ジョークや詩や物語なども生成できます。ChatGPTは、多様なトピックやジャンルに対応できるだけでなく、会話の文脈や相手の感情を理解しようとする能力が高く、ユーザーの感情や態度にも配慮した対話を行うことができます。しかし、ChatGPTは、事実や知識に基づいた回答をすることが苦手で、時には間違った情報や不適切な発言をすることもあります。

Bing AIとChatGPTの違い

Bing AI と ChatGPT

Bing AIとChatGPTは、ともにOpenAIの技術をベースにしたAIチャットボットですが、それぞれに特徴や違いがあります。

Bing AIは、Web検索エンジンとしても機能し、インターネット上の最新情報にアクセスできます。音声での対話も可能で、スマホアプリも提供されています。

一方、ChatGPTは、2021年以前のウェブのデータを用いて訓練されており、文章生成やコーディングなどの高度な能力を持ちます。Webサイトでしか利用できず、文字による対話のみです。

項目Bing AIChatGPT
目的検索エンジンとチャットボットの統合多目的チャットボット
言語モデルGPT-4GPT-3.5またはGPT-4(有料プラン)
会話のスムーズさより自然で人間らしい正確さや一貫性に影響する可能性がある
回答の正確さ最新かつ関連性の高い情報を示す2021年以降の出来事には不正確なことがある
数学関連の回答より高度な数学の分野にも対応できる基本的な計算はできるが、誤った解答をすることがある
悪意を持つ利用者への対応会話に厳しい制約を設けて不正利用されるリスクを減らす自己防衛のために、会話を中断したり、応答を拒否したりすることがある
情報源の表示回答に情報源のリンクを含める回答に情報源のリンクを含めない
利用料金無料無料または有料(月額約2,600円)
開発元MicrosoftOpenAI

目的

Bing AIとChatGPTは、それぞれ異なる目的で開発された人工知能です。Bing AIは、検索エンジンとしての機能を重視しており、ユーザーに有益な情報やコンテンツを提供することを目的としています。
対して、ChatGPTは、会話型の人工知能としての機能を重視しており、ユーザーに楽しくて快適な会話体験を提供することを目的としています。

会話のスムーズさ

Bing AIは、ユーザーの言語や文化に合わせて自動的に対話を調整できます。ウェブ検索を活用してユーザーの質問や要求に対して情報を提供したり、コンテンツを生成したりすることがが可能で、複数の検索結果から情報を統合したり、関連性や一貫性を保ったりすることで、会話のスムーズさを高めることができると言われています。

対して、ChatGPTは、ニューラルネットワークを利用して対話を生成することで、会話の速度や自然さを高めることができます。ですが、誤りや偏りが含まれる場合もあるため、会話の正確さや一貫性に影響する可能性があると言えるでしょう。

データの正確性

両者はデータの正確性において大きな違いがあります。

Bing AIは、ユーザーの質問や要求に応えるために、常にウェブ検索を行い、最新かつ信頼できる情報源を参照します。

一方、ChatGPTは、事前に大量のテキストデータを学習した結果を用いて、自分の言葉で回答を生成します。しかし、学習したデータの内容や品質に依存するため、時には古くて間違った情報や、偏った見解や感情を反映した回答を出すことがあります。たとえば、2021年以降に起きた出来事や一般的な知識に関する質問については、不正確なことがあります。

数学関連の答えの正確性

Bing AIとChatGPTは、どちらも数学を理解しており、方程式の解析やデータセットに基づいた演算の実行が可能です。しかし、数学関連の答えの正確性については、Bing AIのほうが優れていると言われています。

Bing AIは統計学や物理学、確率といった、より高度な数学の分野においても、正確な解答を示すことができます。また、インターネット全体にアクセスできるため、最新かつ関連性の高い情報源をきちんと示すことで、ファクトチェックの効率を上げることができます。

ChatGPTは基本的な計算はできますが、複雑な問題に対しては誤った解答をしやすいと言われています。

悪意を持つ利用者への対応

Bing AIは会話により厳しい制約を設けています。不審なトピックに触れると、会話を強制的に中断する仕組みを採用しています。これは、悪意のある利用者が、AIチャットボットを悪用してスパムメールやマルウェア、フィッシング詐欺などを行うリスクを減らすためです。

もちろんChatGPTも同様に、自己防衛のために、会話を中断したり、応答を拒否したりすることがあります。

Bing AIの将来の展望と課題

Bing AI

Bing AIの将来の展望は、より高度で多様な検索ニーズに応えることです。例えば、ユーザーが画像や音声で検索したり、対話的に質問したり、クリエイティブなコンテンツを生成したりする場合にも、Bing AIは適切な回答やサジェストを提供できるようになることが目標です。また、Bing AIは、ユーザーの個人化やコンテキストに応じて、よりカスタマイズされた検索体験を提供することも目指しています。

対して、課題は検索品質や安全性の向上です。検索品質とは、ユーザーが求める情報に対して、正確で信頼できる検索結果や関連情報を返すことです。安全性とは、ユーザーのプライバシーやセキュリティを守り、不適切や有害なコンテンツを排除することです。特に後者については、蓄えられたデータや悪意のある質問によって、犯罪に利用されてしまう可能性もあるでしょう。そのため、Bing AIは、これらの課題に対して、常に改善や評価を行っています。

Bing AIは、Microsoftのビジョンである「Empower every person and every organization on the planet to achieve more」を実現するために、日々進化しています。Bing AIは、ユーザーの検索体験を向上させるだけでなく、教育やビジネスなどの分野にも貢献しています。

まとめ

今回は、Bing AIの概要をご紹介するとともに、ChatGPTとBing AIの違いについてもご紹介しました。どちらのAIチャットボットも魅力的な機能や特徴を持っていますが、目的やシーンに応じて使い分けることが大切だと思います。

Bing AIとChatGPTの選択肢とおすすめを提案するとすれば、以下のような基準が考えられます。

  • 最新情報や一般的な知識を知りたい場合は、Bing AIを使う
  • 2021年以前の話題や出来事について詳しく知りたい場合は、ChatGPTを使う
  • 音声での対話を楽しみたい場合は、Bing AIを使う
  • 長くて深みのある答えを得たい場合は、ChatGPTを使う
  • 文章生成やコーディングなどの創造的なタスクを行いたい場合は、ChatGPTを使う

以上が、Bing AIとChatGPTの選択肢とおすすめの提案です 。どちらも優れたAIチャットボットですが、目的や好みに応じて使い分けることができます。
AIチャットボットの世界は日々進化していますので、今後も注目していきましょう。