はじめに

皆さんは、 ビッグテック という言葉をご存知でしょう。そう、いつの間にかすっかり馴染みのある言葉になってきているのではないでしょうか。

・親の時代になかったが、今ではすっかり私たちの生活の一部となったサービスといえば何か。

・ここ数年で誕生したにも関わらず、小学生のなりたい職業ランキングで常連客の人気職業は何か。

こんな大雑把な問いでも、地域や年代、性別を超えて、誰もが思い浮かべるほど、私たちの生活に入り込んできた存在、ビッグテック。

この記事では、インターネットを中心とした技術を活用し、人とのつながり方、学び方、働き方にまで影響を与えているビッグテック(巨大テクノロジー企業)について、意外と知らない企業文化を「5分で読める」ように紹介していきたいと思います。

誰もが魅了されるサービスや製品を生み出し、また、さらなる進化を続ける企業文化とはどのようなものなのか。少しでも何かのヒントになれれば幸いです。

第一回は、アメリカの巨大テクノロジー企業をご紹介します。その主役はもちろんThe four GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)です!その社風や企業文化を見ていきましょう。

アメリカン ビッグテック その1 Google

ビッグテック
MOUNTAIN VIEW, CA/USA – JULY 30, 2017: Google corporate headquarters and logo.

まずは、「グーグル先生」でおなじみのGoogle社です。「ググる」という動詞にもなるくらいに生活の一部となっているGoogleですが、検索エンジンに始まり、音声認識システム「Google Assistant」や地図情報システム「Google Map」など、知らず知らずのうちに毎日利用していることにあらためて驚かされますね。

ちなみに、音声認識システムとしては他社においてAmazonのAlexaやAppleのSiriなど類似しているサービスもありますが、個人的には筆者の先輩が研究しているGoogleの自然言語処理APIの技術がGoogle Assistantにも用いられていると聞いて、興味深く、身近に感じました。

また、個人向けのみならず、企業向けのソリューションも提供しています。詳しくは以前の記事をお読みください。

デジタルワークスタイルを後押しする Google Workspace(旧 G Suite)を使いこなそう!

これらのテクノロジーを生み出しているGoogleの企業文化として「働きやすさ」を思い浮かべる人も多いのではないかと思います。充実した福利厚生と職場環境の素晴らしさからGoogleのオフィスを見た人は大人の遊び場のようだと言われたりもします。そこにはどんな企業文化があるのでしょうか。

「Forbes」というアメリカの有名な経済雑誌に「インターネットの父」とも呼ばれているヴィントン・グレイ・サーフ氏が寄稿した記事があります。記事の題名は「革新の文化を育むための五つのレッスン-Googleより」(Growing A Culture Of Innovation: 5 Lessons From Google) となっており、要約すると以下のとおりです。

  1. テクノロジーだけでは持続的な競争優位は保てない
  2. データ集めからの決断、プロセスの透明化
  3. 失敗を恐れない
  4. 文化は常に進行中であることを忘れない
  5. オープンでいること

二つ目の「透明化」は、小さな事柄でも大きな事柄も全て透明性を保つことだそうです。これを可能にしているのはGoogleの徹底したデータ主義であり、どのような決断も全てデータに基づき、判断/決断をするという企業文化があります。

そして、さらに大事なことは決定したことを実行に移すことだと述べられていました。有効なデータの収集には従業員等からのフィードバックが必要だが、それは彼らが、実行に移されると信じているからこそ、有効なフィードバックが得られる、とのことでした。

余談ですが、こちらGoogle社が出しているエンジニアのための「書く技術(Technical Writing)」がわかりやすくまとめているそうでお勧めだそうです。英語ですが興味のある方は是非。‘Every engineer is also a writer.’という一文から始まっており、全てのエンジニアは物書きでもあるとして学習のコースとしてコンパクトにまとめてあるそうです。

アメリカン ビッグテック その2 Apple

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HONG KONG, CHINA – MARCH 19: Apple Store in the city center on March, 19, 2013, Hong Kong, China.

次に、iPhoneやMacintoshなどのデジタル製品で有名なAppleの企業文化を見ていこうと思います。

Apple社の企業文化を語るにおいてスティーヴ・ジョブス抜きに話すことはできません。彼の価値観や信念、哲学をもとにAppleは作られており、また現在においても、なおAppleの根幹を支えていると言えるように思います。

「Forbes」の記事、Steve Jobs’ Legacy Still Drives Apple’s Current And Future Productsでは、現在でもなお続くスティーヴ・ジョブスのDNAが語られています。彼の信念において‘computing experience should be easy to use and intuitive’と述べており、コンピューターは簡単で直感的であるべきだとしています。彼の信念をもとに作られた製品は、その信念を反映するかのようにシンプルなデザインや直感的な使用が可能になるよう作られています。

また、Appleにおいて役員や管理職になった際には、特別な研修プログラムがあり、そこでAppleの考え方を学ぶそうですが、実はヒューレット・パッカード社の’HP Way’を基にしている研修プログラムだそうです。(※)

※HP Wayに興味がある方はデビッド・パッカードが書いた“The HP Way.”を覗いてみてははいかがでしょうか。日本語訳は『HPウェイ – シリコンバレーの夜明け』です。

アメリカン ビッグテック その3 Facebook

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December 27, 2017 Menlo Park / CA / USA – The Facebook Like Button sign located at the entrance to the company’s main headquarters located in Silicon Valley

続いては、海外で当たり前のように就職活動に使用されるFacebookです。

Facebook社が提示している企業文化として「速く動け、大胆であれ、自分自身であれ」(Our culture)とありますが、「Business Insider」というニュースサイトのThe 5 values Facebook looks for in every employee(Facebook社が全従業員に期待する五つの価値観)という記事で、もう少し多様な企業文化に触れられていました。

  1. 彼らは大胆だ
  2. 彼らはインパクトに集中する
  3. 彼らは速く動く
  4. 彼らはオープンである
  5. 彼らは社会的価値を創造する

この記事の中で印象深かったのは、マーク・ザッカーバーグ氏の「最もリスキーなことはリスクを取らないことだ。」という一文でした。「速く動き、壊す」というマーク・ザッカーバーグ氏の信念と相まって強烈な創造力とリーダーシップを感じずにはいられません。

一方で、「私たちは創造者の文化―その力は私たちの手の中にある」と述べられていることから、社員の創造性を信じ育む環境をつくろうという熱意が伝わってきます。

アメリカン ビッグテック その4 Amazon

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MUNICH, GERMANY – DECEMBER 26, 2018: Amazon logo at the company office building located in Munich, Germany

最後は、コロナ渦で爆発的にショッピングサイトの需要が増えた「Amazon」です。

先端テクノロジーを積極的に取り入れ、動画配信のPrime Video、音声アシスタントのAlexa、クラウドプラットフォームのAWSなどなど、様々な分野でサービスを生み出しています。

少し前の記事になりますが、「Business Insider」(日本語版)の記事 誰も知らない、アマゾンが実用化した驚きの技術、その裏側【re:MARS】に、ロボット技術を活用したこれからの企業の在り方について触れられている内容がありました。

記事中で、Amazonで導入しているロボット(その数なんと20万台以上!!)のことを「働いている」と表現しています。加えて、人とロボットは「別の強みを持つパートナー」であると述べられており、ただ効率化のためだけに導入するのではなく、新しい未来の社会の在り方を見据えた信念の上で、積極的に先端テクノロジーを導入していると感じました。

そして、このようにAmazonの様々なサービスやテクノロジー開発を支える企業文化には、意外にも日本をルーツとした内容がありました。

それは、アマゾンのOur cultureで「Kaizen」と呼ばれています。

日本語の「改善」がそのままの意味として使用されており、英語に置き換えずに掲げられています。Amazonの多くの社員にとっては、英語で挙げた方が理解しやすいのは間違い無いにも関わらず、「Kaizen」のままとしているという点から、日本の誇る高品質に対する敬意とともに、Amazonもそれに並ぼうとする強い決意を感じます。

おわりに

いかがだったでしょうか。すでにご存知の内容があったかもしれませんが、ビッグテックを理解するにあたり、少しでも役に立ったなら幸いです。

今回は「世界のテクノロジー企業を知る【アメリカ編】」ということで、GAFAを取りあげましたが、今後は、他の国々や、幅広い大小様々な興味深いテクノロジー企業を紹介していきたいと思います。