1.はじめに

以前、こちらで社会人1年目女子の「ゼロから始めるVRの世界」と題してOculus Quest 2の体験記が掲載されました。

https://www.users-digital.com/2021/03/16/user_vr01/

こちらでは、Oculus Quest 2のレビューに重きが置かれ、そもそもVRについての説明が省略されていましたので、本稿ではVRとはなにか?というところからVRの歴史、VRの活用場面(ユースケース)などについて、紹介したいと思います。

2.そもそもVRってなに?

まず、そもそもVRとは何かご存じでしょうか。今さらな感も否めませんが、一度、おさらいしておきましょう。バーチャル・リアリティ(英: virtual reality)とは、コンピュータによって作り出された世界である人工的な環境やサイバースペースを現実として認識させる技術です。日本語では「人工現実感」あるいは「仮想現実」と訳されることが多く、「仮想現実」という表現には、なじみがある人も多いと思います。VRの技術を構成する要素には、コンピュータ科学、ロボティクス、通信、計測工学と制御工学、芸術や認知科学などが含まれます。

3.VRの歴史

VRの歴史は浅いと考えている読者の方も多い思われますが、実際は意外とそうでもありません。バーチャル・リアリティのコンセプトの先駆けとなったゴーグル型のVRシステムが登場した短編小説「Pygmalion’s Spectacles」が著されたのは1935年です。驚かれた方も多いのではないしょうか。今から80年以上も前に、すでにVRのコンセプトが考えられていたのです。

その後、1990年代初頭に第1次VRブームが起こると、日本でもジョイポリスにVRゲームが設置されたり、開発が進められていたVRを使用したゲームや今後のゲーム業界についてNHKの番組内で紹介されたりしました。しかし、第1次VRブームは後述する課題が原因で広く普及しませんでした。その後、2010年代初頭の第2次VRブームが起きたことで商用化が進んだ形になります。

4.VRを楽しむには

現在では、日本でも様々なVRデバイスが発売されています。例としては、PCに対応しているOculus Riftやスマホに対応したOculus Go、Nintendo Switchに対応したNintendo Labo Toy-Con 04:VR Kit、PlayStation 4に対応したPlayStation VRが挙げられます。

5.VRの課題

一方、VRが広く大衆に受け入れられるには解決すべき課題があるのも事実です。大きく分けて、以下の2つが挙げられます。

A)    健康リスク

幼少期は目の筋肉や視力が発達途中であるため、VRの使用による悪影響が大人よりも大きくなりやすいとされています。実際、10歳未満の子供がVRデバイス利用によって斜視になったという症例が報告されていたりします。このような症例と医学的見地に基づき、VRデバイスの多くには対象年齢が設定されています。

B) VR酔い

VR酔いは、VR環境にさらされることで乗り物酔いに似た症状が引き起こされる時に生じます。開発側も、不快感を軽減するために、視点の移動速度やゲーム内の重力を調整するなどの対策をしていますが、VR酔いがなぜ起こるのか完全に解明されてはいないようです。

上述した2つの問題点を懸念する声や、値段が高くコンテンツが少ない等の理由で、VRの普及は道半ばというのが現状です。また、マーケット調査会社がVRヘッドセットの購入を考えていない理由を調査したところ「単純に興味がない」が53%を占めたことを考えると、そもそもVRへの関心が低いこともVRの普及を妨げる要因の1つになっていると考えられます。

6.VRの活用

前述したようにVRの歴史でもVRゲームの開発などが大きなウェイトを占めてきたことから、「VR=ゲーム」といったイメージを浮かべる方も多いかもしれません。しかし、現在ではVRの活用はゲームに留まらなくなってきています。今回は、ゲーム以外のユースケースにフォーカスしてご紹介します。

①     社員研修

社員研修に、VRを活用する企業が登場しています。代表例は、ファミリーマートです。以下の記事では、ファミリーマートが社員研修にVRを活用して、店舗オペレーション習得に要する教育時間削減を実現したことが紹介されています。興味のある方は、是非ご覧ください。

https://www.family.co.jp/company/news_releases/2020/20201012_01.html

②     VRSNS

他のユースケースにはVRSNSが挙げられます。VRSNSとは、その名の通りVR上のSNSです。今回は、そのうち日本でも利用可能かつ比較的認知度の高いVRChatとCluster、そしてVirtualCastの3つを紹介します。

I.      VRChat

VRChatは、いわずとしれたVRSNSの覇者で、利用者数で一番です。アバターもワールド(場所)もフルカスタムすることが可能なので、自由度が非常に高いというのも大きな特徴です。人が多いことも相まって利用シーンも多種多様です。

VRのSNSとしても使える、エモ景色めぐりもできる、いろんなイベントにも参加できる、友人とゲームも遊べる、寝られる、居酒屋のような雰囲気でVR飲みができる、定期開催のガールズボイスバー(?)や男装喫茶にもいける、かわいい・かっこいい・現実ではありえない姿の人々に囲まれる、VRで踊り狂える、VR特有の謎の感覚が芽生えたりもする、恋人のような関係も作れる、publicで一期一会の出会いもある、海外の人と交流することで一種の混沌も味わえるし、仲良くなって言葉も学べる……。

VRという環境における「新しい体験」のほとんどは、ここで味わえると言っても過言ではありません。また、自由度が非常に高いので、VRChat内のワールドとして作れるVRゲームが多岐にわたるのも特徴の1つです。例として、サッカーの変形ゲームのような球技(ペコペコバトル・溶岩ボール等)から同人ボードゲーム、カードゲーム、進行役が自動の人狼、TRPG、囲碁将棋麻雀、ホラーゲーム、謎解きゲーム、等身大RPG、等身大ボンバーマン他クローンゲーム、その他オリジナルゲーム等、多岐にわたり実に様々なものがあります。

そして、全体人口が多いことと同時に一部屋(インスタンス)に同時にいられる人数が多いのも大きな特徴です。それ故に、他のVRSNSとは一段違った賑やかさと活気を感じることが出来ます。現在、VRChatを日々のコミュニケーションだけではなく、ビジネス的な用途でも活用するケースが増えています。以下の記事は、VRChat上で企業採用面接を行った企業について取り上げていますので、興味を持った方は是非ご覧ください。

https://panora.tokyo/66480/

II.    Cluster

Clusterは、VRChatと比べると後発のVRSNSになります。その理由には、ライブ等を開催する場所という位置づけからバーチャルSNSという位置づけに転換したという経緯も関係しているようです。Clusterで実際に行われたイベントの例に、就職フェアがあります。

https://virtual-job-expo.kyoto/

Clusterの特徴は、スマートフォンからアクセス可能であるため、手軽に利用できることです。また、テキストチャットが標準で使えるところも特徴の1つです。声を出すのが苦手な日本人には、ありがたいと感じる人も多いのではないでしょうか。元々ライブやイベント用であるためか、ローカルファイルをワールド全員に見せる手段が充実しているのも特徴的です。

III.  VirtualCast

VirtualCastは、VRライブ・コミュニケーションサービスという属性にあたり、もともとは配信に特化していたのが特徴です。外部連携が他のVRSNSと比べて容易であることも特徴の一つといえそうです。また、ニコニコ動画を運営しているKADOKAWA株式会社のグループ内学校法人であるN高等学校とS高等学校が、VirtualCastの開発協力のもと、最新のVR技術とデバイスを活用した体験型学習コースを2021年4月から開始することでも話題になりました。

https://nnn.ed.jp/news/blog/archives/11427.html

こちらのコースでは、最新VRデバイスのOculus Quest 2に対応した実用的なVR学習プラットフォームが提供されるとのことです。Oculus Quest 2については、冒頭に紹介した記事で詳しく説明していますので、是非チェックしてみてください。

7.終わりに

今回は、VRの世界について解説してみました。この記事を読んだ皆さんに少しでもVRの面白さが伝わっていると幸いです。現状、まだまだVRの普及は道半ばと言わざるを得ません。しかし、今後VRに関する技術が進歩すればするほど、より皆さんの身近なものになると筆者は考えています。

また、今回の記事を執筆するにあたって、自社オフィスをVRのワールドとしてVRChatとCluster上のインスタンスに作ってみました。詳しくは次回以降の記事で触れますので、気になった方は次回の記事も楽しみにしていてください。

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本連載が皆さんにとってVRの楽しさ、魅力が伝わるものであることを願っております。