DX認定制度 とは?

DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する事項に対応する企業を国が認定する制度になり、DX推進の準備が整った事業者を国が認定します。DX認定制度に関する詳細は以下のサイトが参考になります。

DX認定制度 Web申請受付開始のご案内


なお、「デジタルガバナンス・コード」とは、経営者に求められる企業価値向上に向け、実践すべき事柄を指しています。

DX認定制度
出典:経済産業省 DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)

DX認定制度の認定を受けるメリットは?

実際どのような目的でこの認定を取得するのでしょうか。次のメリットが挙げられます。

  • DX認定のための申請作業において、各企業DX推進時の論点整理に役立つ
  • DXを進める上で「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」(DX-Ready)であると国から認定される
  • DX認定制度は「デジタルガバナンス・コード」の「(1)基本的事項」と対応するため、今後紐づく重要施策のエントリー条件となる
  • 上場企業についてはDX銘柄制度との連携を行い、「DX銘柄2021」はDX認定制度への申請を行った事業者の中から選定を行う
DX認定制度
出典:経済産業省 DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)

DX認定制度 の申請方法は?

独立行政法人 情報処理推進機構が公開している以下の資料が参考になります。

DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)

  1. 「申請要項」の確認
  2. 必要提出書類のダウンロードと準備
  3. Web申請システムで申請及び、必要書類の提出

DXへの準備がなされている全ての事業者を対象としているだけに、申請用のフォーマット、申請チェックシートも用意されており、申請そのものは非常に取り組みやすいです。

DX認定制度の各業種の申請状況は?

DX認定を受けている企業は、「情報・通信業」、「電気機器」、「保険業」、「建設」の業種で多いですが、その他、様々な業種で認定されています。

DX認定制度 認定事業者(2021年4月2日時点)

現時点の業種ごとの認定企業数は以下のような状況です。

DX認定制度
公開されている認定事業者から日本標準産業分類等をもとに作成

DX認定制度の具体的な申請内容は?

上述した申請専用のシートが用意されており、各項目に回答することで申請項目を満たしていくことができます。シートや対応項目が事前に用意されており、非常に丁寧に準備されていると印象です。ただし、DXの定義のように、各企業における状況に対応した解釈にもとづいた回答が必要になってくるのでしょう。

では、各企業の申請内容は、どのようなものとなっているのでしょうか。

まず設問内容ですが、DXをけん引する技術要素として、その具体的な内容、例えばクラウドやAIなどのキーワードは使われておらず、「情報処理技術」として設問されています。これは、概念的に広く捉えていて、この認定制度の目的の通り「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」であるかを確認するためと考えられます。

DX認定制度
出典:経済産業省 DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)

企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定

各企業、年次や中期経営計画等をもとに設問に回答している場合が多く、DX要素が本認定制度に関わらず、企業がこれから取り組むべき重要なテーマであると考えられます。

企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)の決定

各業種、各企業で、「情報処理技術」をどのように活かすか、具体的な活動が見て取れました。

例えば、各企業で開発したツールにおける方策やDX関連技術だけではなく、人財力を活かしての対応やファンド投資による対応など、各業種特有の対応がうかがえて興味深いものでした。

戦略を効果的に進めるための体制の提示

新しい組織や役職を設置する企業が多いなか、企業によっては取締役が担当の部門長を兼任するなど、DXを強力に推進するための体制整備に向けた各社の工夫が見て取れました。

最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示

組織新設や組織改編、キーテクノロジーのエンジニア採用や養成に加え、インフラをAWSで統合するなど各企業において様々な対応が提示されていました。

戦略の達成状況に係る指標の決定

数値目標(売上、営業利益、投資利益率など)や、DX案件、DX関連プロジェクト数の達成度、新サービスの開発、デジタル会員数など、様々な尺度を用いた指標が提示されていました。

実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信

中期経営計画や年次計画、DXに関連し、企業が公表したプレスリリース等が提示されていました。

実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握

多くの企業がデジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を利用した自己診断を実施し、別紙として提出していると推測されます。

サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施

各企業がこれまで実施しているセキュリティグループによる施策の提示や、 ISMS、「個人情報保護」「情報セキュリティ」運用の確認、各種監査などの対応を提示していました。

DXを推し進めるために

昨年に開始された「DX認定制度」と、その申請内容について触れてきましたが、今回確認した「DX認定制度」への申請企業は、そのほとんどが上場企業でした。その目指すところは、企業内の施策・論点整理にとどまらず、対外的な信頼性/ブランド力向上、今後予定されている「DX銘柄」など様々だと考えられます。

申請内容においても年次、中期経営計画等で回答する状況がみてとれ、DX認定に関わらず、企業を経営するうえで、重要な取り組みテーマであり、その必要性は任意ではなく、必須であると改めて実感しました。一方で非上場企業でも簡潔に要点をまとめて申請、認定されている企業もあり、回答の柔軟性も認めていると感じました。

それは、この認定制度が、比較的DX関連への対応が早い上場企業にとどまらず、個人事業者や公益法人をも対象としていること、認定のしきいを高くしていないことから、国もDX推進を後押しすべく、企業のDX対応を促進することに重きをおいていることがうかがえます。

このDX認定制度に対応する中で、社内の状況や社員、お客様との関係を再認識し、見直すきっかけにもなり得るのではないでしょうか。読者の皆様も今回紹介した内容を踏まえ、ご自身の組織でも挑戦してみてはいかがでしょうか。