1.はじめに
キャッシュレスというキーワード、どこでも耳にするようになってきていますね。わかりきった話かも知れませんが、改めてキャッシュレスの現状を踏まえつつ、タイプ(決済方法)ごとの違いについて紹介してまいりたいと思います。
何を大事にするか。何がご自身にあう決済手段なのか。改めて考えてみましょう。
2. キャッシュレス 決済とは? キャッシュレス を取り巻く環境とは?
辞書的には文字通り、Cash(現金)less(より少なく)となりますが、一言でいうと、「現金を使わない支払い」というところでしょうか。
現金を利用しないため、利用者は現金を持ち歩いたり、銀行から引き出したりしなくてもよくなるうえに、支払いにおいても現金を出し入れしない分、レジでのモタモタがなくなる利点が挙げられると思いますし、国や銀行、その他事業者は造幣、保管、運搬、精算などがなくなるため、多くのコスト削減が可能となります。
※実際に大手銀行ではATMの維持だけでも年間数億~数十億というコストがかかっています。
利用する側とそれらを管理する側、双方にとってメリットが大きいとされているキャッシュレスですが、日本は諸外国に比べ、キャッシュレスが進んでいないと指摘されています。

そこには様々な要因が指摘されていますが、筆者としては社会の安全性と、現金への信頼が大きいのではと思います。いつ強盗にあうか。いつ盗まれるか。汚れすぎていて使えないのではないか。偽札ではないか。など、個々人にとって脅威もしくはデメリットとなるような明確な理由がなく、これまで整えてきた金融インフラのおかげで、全国どこでもATMやコンビニでお金がおろせて、どこでも使える。何の不自由のない信頼できる手段が目の前にあるのだから、それを超える何かが無い限り、中々手が出ないというのが大きいのではないでしょうか。
こうした状況の中、利用者にとっても、事業者にとっても、国にとっても?(ここはあまり触れないでおきます)キャッシュレスにより得られるメリットが大きいことから、政府は2025年までにキャッシュレス決済の比率を40%にまで引き上げると、目標を定めるに至ります。
ただ、上述の通り、現金への信頼が厚い状況でもあるので、利用者側のメリットを大きくするために、キャッシュレス推進政策にはポイント還元という言葉がよく出てきます。消費者であり、利用者の立場からするとありがたい話ですね。
3. キャッシュレス 決済にはどんなタイプがある?
一言にキャッシュレス決済と言っても、様々なタイプが存在します。
それらをタイプ別に見ていきたいと思います。
3.1.支払いタイプ
先払い
先払いとは、いわゆる電子マネーと呼ばれるもので、別の言い方をすると、プリペイドと言います。「プリペイド」まさしく先払いということですね。
よく利用するものでいうと、交通系電子マネーと呼ばれるSuicaやPASMO、ICOCAが代表的な例となりますが、これらを使うためには、先ず「チャージ」をしなければならないですよね?その「チャージ」という行為が先払いであり、チャージされたお金が「電子マネー」ということになります。
既に払っておいた(チャージしておいた)お金(電子マネー)で決済(お買い物)をする。というタイプですね。
即時払い
即時払いとは、決済を行った瞬間に、銀行口座から支払いが行われるもので、主に銀行が発行するデビットカードや銀行が提供しているQRコード決済アプリなどがそれにあたります。
通常、銀行口座にある残高以上は決済できないので、安心感があるという方も多いようです。
後払い
後払いは、決済が終わってから利用者に後で請求が来るパターンなので、ポストペイといい、決済事業者が一時的に立て替えてくれているようなものです。最も身近なものとしてはクレジットカード決済になりますね。
通常、決済から1か月後ぐらいに請求が来るので、支払いを遅らせたい場合においても有効と言えますが、一時的に決済事業者に立て替えて貰っているので借金のようで嫌いだという方もおられます。感じ方は人によって違いますよね。
3.2.決済タイプ
接触型

接触型は決済時に、クレジットカードなどの決済手段と、その情報を読み取るための機械が物理的に接触して通信を行うタイプとなります。
これまでの多くのクレジットカードが行っていた決済手段で、決済時にクレジットカードを店員さんに渡したり、自分で読み取り機(カードリーダー)に差し込んだりして決済していましたが、2020年、世界をパンデミックに追い込んだコロナウィルスのせいで、この接触すらも好ましくないという声が出てきました。
非接触型

非接触型は上記の接触型とは違って、決済手段と読み取り機が直接は接触しない。というタイプです。その性質からコンタクトレスとも言われます。
日本では古くから利用されているFeliCaが代表的で、駅の改札口しかり、コンビニでの決済しかり、直接当たらなくても決済が可能なので、コロナ禍の今にすごくマッチしている感があります。近年ではスマホ決済という名でApple Pay、Google Payも有名ですね。
他にはテレビCMなどでも毎日のように聞こえてくるQRコード決済という類のアプリケーションもこの非接触型に分類され、このタイプを大きく盛り上げてくれています。
また、VISAカードやMASTERカードもコンタクトレス決済を始めていますが、まだ読み取り端末が多くは普及していない感が否めないのが玉に瑕ですね。
4.結局どれがいい?
これが良い!と言い切れるものなら良いのですが、上記でも触れている通り、それぞれ特徴があり、何か一つが一番というわけにもいきません。
ご自身が何を大事にされるか。に限ると思いますので、いくつかの観点で、まとめていきたいと思います。
とにかく決済スピードが大事

レジでの決済をとにかく早く済ませたい。ということなら「非接触型」がおすすめです。
電子マネー系やVISAタッチ、Mastercardコンタクトレスなどであれば、瞬時に会計を済ませることができるでしょう。
ただし、チャージが必要な電子マネー系の場合は、事前にチャージしておく手間がかかるのと、電子マネーの特性上、チャージ金額に上限があることが多く(Suicaは2万円までなど)、家電や家具のような大きな買い物には向かない弱点があります。
クレジットカード系の決済であれば、そういったデメリットは解消されますが、日本ではまだまだ使えるところが少ないのと、会計時に財布を出さないといけないのが難点でしょうか。※Google PayやApple Payと連動した場合はスマートウォッチでの会計は可能です。
とにかくポイントが欲しい

ポイントでいうと、クレジットカードと話題のQRコード決済が強いですね。
クレジットカードに倒すなら、ポイント特化型を謳う三井住友カードプラチナプリファードというカードもあれば、良く使う携帯キャリアのカード、人によってはJALやANAのマイレージがたまるカード、EC系のAmazonや楽天のカードなんかが有力ではないでしょうか。
QRコード決済だと、大乱立状態でユーザ獲得のため激しい競争が繰り広げられている領域なので、選ぶのに一苦労しますが、気を付けておきたいこととしては、大型のキャンペーンはたくさんあるものの、チャージした金額からじゃないとポイントがもらえない。提携もしくは自社クレジットカード紐づけじゃないと還元されないなど、条件が様々なので、しっかりチェックして置きたいところです。
大乱闘時代のこのQRコード決済領域は月々でキャンペーンの内容が大きく変わってくるので、まとめサイトまで登場しています。「QRコード決済 キャンペーン」などで検索頂くとより詳細な情報が得られると思います。
ただ、加盟店が少ない決済手段だと、どんなにキャンペーンが素晴らしくても絵に描いた餅になってしまうので、お住いの近くにどれだけ加盟店があるか。ご確認頂くことをおすすめします。
※筆者の近所はPaypayが圧倒的に多いのでPaypayを良く使います。
決済手段を一つにまとめてしまいたい

現金と違って、多様な決済手段を使っていると、どこからどれだけお金が出ていったのか。わからなくなってしまいますよね。
そうした場合は、何と言っても加盟店数が桁違いに多い(どこでも使える)クレジットカードが無難かと思います。国内でも海外でも同じ決済手段で一本化してしまおうと考えるなら、やはり、VISAカードか、Masterカードでしょうか。
クレジットカードで一本化しようとした際に、よくあるケースとして、近所の個人商店など、クレジット決済に対応しておらず、手数料の安い(数年間は無料もあり)QRコード決済にのみ対応しているケースが出てきますが、QRコード決済アプリに、メインのクレジットカードを紐づければそのケースも何とかカバーすることができるようになります。
使いすぎが怖い

別の視点として、使いすぎに気を付けたい場合は、先にお金を払っておくプリペイド型の電子マネーか。即時支払いのデビットカードもしくは銀行系のQRコード決済に限ると思います。
他には、多様な決済手段をケースバイケースで使い分けつつ、総合的に管理できるように、マネーツリーやマネーフォワードで代表される個人資産管理アプリ(Personal Financial Management)を利用するのがおすすめです。
※筆者も一つのアプリを5年以上使っていますが、私のお金の事情を私より知っています。
5.まとめ
キャッシュレス決済とは何か?から、重要視する観点におけるおすすめまで見てきました。
個々人により大事にされるポイントが異なってくるため、あくまで私見にすぎませんが、筆者の場合は、以下の点を組み合わせるのが良いのではないかと思います。
・お金の出口はなるべく絞った方が良い。(加盟店が多い方が良い)
・どうせならポイントは貰っておいた方が良い。(還元率は高い方が良い)
まとめると、国内でも海外でも使えるVISAやMasterカードブランドであり、多くの加盟店で使えるQRコード決済と組み合わせることができ、その二つが提携しているもしくは1社のブランドである。といった感じでしょうか。
いかがでしたか。宣伝をしたいわけではないため、一つに絞ることはしませんでしたが、この記事が皆様にとって、キャッシュレスのことを理解することができ、お金の出口を再考するきっかけとなれれば幸いです。