目次
はじめに
テレワークという働き方が一般化してきている昨今。ビデオ会議の際に、相手の言葉を聞き逃さず、自分の言葉を伝えやすくするための取り組みの必要性が増してきています。そこで今回は、仕事で使えるヘッドセット選びをテーマにお送りしたいと思います。
イヤホン選びのポイントとは?
テレワークの際にビデオ会議を実施しようとしたところ、次のような失敗をしてしまった方もいるのではないでしょうか。
- 他の打ち合わせ参加者からハウリングがひどいと言われ、次第に発言を求められなくなる
- 打ち合わせの途中から急に何も聞こえなくなって自分だけコメント欄でのやりとりになる
- 発言時のボリュームを上げられず、参加者から何度も内容を確認され、その度に大声で話し続けることになる
実はこれは筆者自身の失敗談です。その他にも、ヘッドセットの着用でひどく疲れたり、痛みを感じたりして、話の内容に集中できなくなることもありました。こうした失敗をしないために、ヘッドセットには次の3つのポイントを求めるべきだと言えます。
動作が安定していること。
問題なく音声を届けられるかという動作の安定は非常に重要です。動作が不安定になることは、必ずしもヘッドセット側だけの問題ではない場合もありますが、使いたいときに使えないのでは意味がありませんので、最も重要視する部分だと言えるでしょう。
着用していて疲れにくいこと。
耳周辺の接触部分や首・肩への負担がなるべくかからないことも重要です。また、人にもよりますが、周囲の環境音も適度に聞き取れる(ヘッドセットからの音声だけに没入し続ける状態にならない)ことが大切になる場合もあります。
音質が良いこと。
3つめは音質です。オンラインの打ち合わせでは、ただでさえ音声遅延などで進行がスムーズに行かない場合があります。それに輪をかけるように、何度も聞き直したり言い直したりするような手間が生じるのは避けたいので、如何にクリアな音質で言葉を伝えられるか、相手の言葉が届けられるかも大事なポイントです。
タイプごとの違いとは?
では、具体的にヘッドセット選びに入っていきます。ヘッドセットには様々なタイプがありますが、整理してみると以下のように分類できるかと思います。
接続方式 | ヘッドセット形状 | イヤーピース形状 | 装着タイプ |
・有線 ・無線(Bluetooth) | ・イヤホン型 ・ネックバンド型 ・オーバーヘッド型 | ・カナル型 ・インナーイヤー型 ・オンイヤー型 ・オープンイヤー型 | ・両耳 ・片耳 |
それぞれの特徴について説明していきますね。
接続方式
接続方式については有線と無線がありますが、両者の違いを分けるのは安定性と快適性です。
有線方式は、基本的にイヤホンジャックの種類さえ合っていれば使える機器が多く、打ち合わせ中のトラブルに見舞われる可能性も低いのが魅力です。
一方、無線方式では、うまく接続できない場合にヘッドセット側の問題なのか、PCなど接続機器側の問題なのかの判断が難しく、限られた時間内では解決できないこともあります。また、常にバッテリの残量に気を付ける必要などもあります。トラブル発生時や充電が切れた時は、有線のヘッドセットを使う、機器本体のスピーカーとマイクを使う、などの代替手段をあらかじめ用意しておき、柔軟に使うのがお勧めです。ただし、ヘッドセット品質の向上やBluetooth規格の性能向上により、接続トラブルや音質の問題は以前より格段に減ってきています。
無線方式の課題を先にお伝えしてしまいましたが、これらを補って余りある魅力があります。それは、イヤホンコードに束縛されない快適性です。打ち合わせ中に少し離席する場合や、長時間同じ姿勢を続けていて少しストレッチしたい場合など、テレワークという環境だからこそ起こる事情にも応えやすいのは無線方式だと言えるでしょう。
ヘッドセット形状
ヘッドセットの形状は、自身で快適だと感じる着用時のフィット感と負担とのバランスや、使うシチュエーションで判断するのが良いでしょう。
イヤホン型は、軽量で長時間使用しても疲れにくいのがメリットです。また、移動中や外出先などでも人目を気にせず使いやすいのが魅力です。ただ、人によってはイヤーピース部が耳から外れやすいこともあるようなので、注意が必要です。
オーバーヘッド型は、頭頂部にかけて密着するヘッドバンドと一体化した構成です。少し動いてもずれにくく、フィット感が高いため、着用後にヘッドセットの存在を気にせず、会話内容に集中したい場合などに合います。
ネックバンド型は、首の後ろを沿うネックバンドで着用位置を固定しており、その機能性はイヤホン型とオーバーヘッド型の間に位置するような製品です。イヤホン型よりフィット感が高く、オーバーヘッド型より多くのシチュエーション(頭髪の乱れを気にする場合など)でも使いやすい存在と言えます。
イヤーピース形状
イヤーピースの形状は、着用時の快適さと、音声の聞き取りやすさに関わります。
カナル型は、耳栓のような形状で、耳の内側に密着することで外部の音を遮断し、とても聞き取りやすくなっています。昨今のイヤホンで主流となっている形状ですが、音楽鑑賞などリラックスできる趣味の用途と異なり、適度な緊張感を伴う打ち合わせなどの場では、一切の外部音を遮断することにストレスを感じる方もいます。また、耳の内側に密着しているため、自分の声が響いてくるのが嫌だという方もいます。そうした人の場合は、別のタイプがいいでしょう。
インナーイヤー型は、耳の中にイヤーピースが入る点ではカナル型と同じですが、耳の内側に隙間があるため、外部の音もある程度聞き取ることが可能です。その反面、密着しない分だけイヤーピース単体では耳から外れやすいので、耳掛け部品が付属している製品がお勧めです。
オープンイヤー型は、外耳を塞がない形状をしており、身の回りの環境音なども聞こえている中で、自然に相手の音声を聞くことができます。種類としては、耳から少し離した位置のイヤーピースから耳に向けて音を発するものや、骨伝導で体内を経由して音を聞き取るものがあります。自然に音声を聞くことができるため、長時間の利用でもストレスになりづらい反面、静穏な環境でないと聞き取れず、集中できないデメリットもあります。
装着タイプ
装着タイプは、両耳と片耳の2種類があります。仕事での使用を前提とすると大きな違いはありませんが、強いて言えば、両耳の方がより集中しやすく、片耳の方がより移動中や他の業務中でも邪魔になりづらいということは言えるでしょう。ご自身の仕事の環境に応じての選択をオススメします。
普段音楽を聞くことが好きな方の場合、「重低音がきれいに聞こえるか」とか「プレイリストの操作が簡単か」といったような視点で選んでしまいがちですが、仕事での使用の場合は異なる基準があるはずなので、その点には注意して製品を考えてみるといいでしょう。
おわりに
最後に触れておきたいこととして、「価格」と「ブランド」があります。これらも購入にあたって非常に重要な要素ですが、ヘッドセット市場は、新しいメーカーが次々現れ、価格帯もどんどん変わっていくため、一概にこれとは言いづらいのが正直なところです。ただし、これだけは言える点として触れておきたいのが、必ずしも「価格が安い=品質が低いではない」ことや、「有名ブランドでも問題がある製品もある」ということです。
こうした点の見極めはとても難しく、口コミでも判断しづらい場合が多いです。そのため、性能や相性以外の観点でオススメの視点としては、「保証期間が十分(数か月か、できれば1年以上)あること」だと言えるでしょう。製品に何か問題があったときに、相談を受け付けてくれたり、交換に応じてもらえたりすることはかなり大きいと言えます。こうした点を参考にしながら、ご自身のユースケースと好みのタイプから考えてみてはいかがでしょうか。